ゆっくりと


49歳で亡くなった、取引先の社長のお通夜に行った。
遺影が優しかったぁ。すごく優しかった。仕事でのお付き合いは十数年。何年前になるだろう、社長の会社に数ヵ月、出向のような形で通っていたことがある。あの頃はまだ、専務だったっけ。
喪主である奥様は私よりも年下でハキハキした気の強い人だが、体がひとまわり小さくなっており、お焼香の時に私と目が会うなり、口角を上げながら涙を流していた。声にならない声で 「またね」 と言うのが精一杯だった。奥様は泣きながら、何度も頷いてくれた。
ご本人はもちろん、奥様やご両親も一緒に病気と戦ったのだろうと思うと、つらくて親族席を見ていられなかった。社長、ゆっくりお休みくださいね。