女の子の名前

最近の子供の名前は読み方が難しい。
特に女の子の名前は、昔のように 『○子』 という名前は少なく、文字も音の響きもかわいらしい印象のものが多い。明治安田生命が毎年発表する名前ランキング(2008年)を見ても8位の 「莉子」 以外は 『子』 が付いておらず、100位以内で 『子』 が付いている名前は3個しかなかったそうだ。幼稚園の先生をしている友人も 「いまの子供の名前はふりがながないと読めなくて大変だよ」 と言っていた。
私が小学生の頃は周りは 『○子』 だらけで、『子』 が付いていないのは私を含め数人だけだった。その頃は 「いいなぁ、 『子』 が付かない名前で」 と言われたものだ。


だが、ここに問題がひとつあった。私の名前は、漢字で書くと苗字も名前も画数が多くゴツゴツしていて、男っぽく見えるのだ。苗字の字面や音が男っぽい感じなのに更に、男らしい字面の名前。パッと見は、男なのだ。ひらがな表記にしたり音にしたりすると女子以外有り得ない名前なのだが、漢字だとどうしても男になってしまう。音読みで男の名前として読めてしまうことも問題を重くしている。
病院や役所などで、男子の読み方で名前を呼ばれたことは数知れず、一人暮らしをはじめてからは電話にでたときに 「あれ?女性?間違いました」 と言われたこともある。


そういえばロッキード事件の後、『田中角栄』君という子供が学校でいじめられるということで改名を許可された、というニュースを見て、「私の名前も女の子らしい字に改名して欲しい」 と親にお願いしたことがあった。「女の子は結婚して苗字が変わるから、大人になれば大丈夫」 と母に慰められたことを覚えている。


こんなこともあった。
小学校を卒業し、中学生になる時のこと。うちの田舎では中学の制服を扱っている衣料品店は1軒しかなく、小学校卒業のお祝いを兼ねて、全員に制服の案内ハガキが届く。予想通り、私には学ランの案内が届いた。セーラー服を楽しみにしていた私は、さすがに泣いて親に訴えた。「もう、こんな店では制服買いたくない!!!」。
だが、制服を売っている店はここしかないので、仕方なく母と一緒に採寸に行くことになった。ハガキを持参の方にはプレゼント有りと書いてあったので、ハガキを持って行った。母が店員に「 間違って学ランの案内が来たため、うちの子はショックで制服を買いたくないと言い、連れて来るのが大変だった」 と言ったところ 「あらー、すみませんでした。読み方を間違ったんですね」 とおばちゃん店員。その態度がまた気に入らなくて、店の中でも 「嫌だ!帰る!」 と言って母をオロオロさせてしまった。


そんな私も、結婚せぬまま(できぬまま?)イイ年頃に。
大人になってからは知恵も付き、懸賞に応募するときは、男子の方が当たりそうだと思ったら苗字・名前とも漢字で書き、女子の方が当たりそうだと思ったら苗字は漢字で、名前はひらがなで書くようにしている。また、知らない相手側に書面を出す必要がある時は、性別が分からないように漢字で書くようにしている。
「子供が出来たら、『ヒロミ』 のような女子でも男子でも通用する名前を付けるんだ!」 と言っていた兄も結局、娘には可愛く女の子らしい名前を付けたんだよなぁ。


こんな私に、苗字が変わる日は来るのだろうか。