立川志らく25周年記念公演 『立川志らく独演会』 よみうりホール

今日の東京は、最高気温が25度もあったそうだ。実際に体で感じる温度はもっと高かったような気がする。午後から銀座に出掛けたが、人の数の凄いこと!いつもは空き空きの歩行者天国も、人がウヨウヨ。最近は、渋谷にいるような若いコも多く、ココは銀座か?という感じ。相変わらずアジア系の観光客も多く、ブランドロゴの入った袋をたくさん抱えていた。
うへぇー!


友達と合流 → 腹ごしらえをし、有楽町のよみうりホールへ。
今日は 『立川志らく独演会』 。ん?25周年?この間の談春さんの会も25周年スペシャルだったよね。立川流を代表するこのふたり、同じなのか。知らなかった。。。25年ってすごいなぁ。。。私がセーラー服を着ている時から落語をやっているんだもんねぇ。
そして今日の独演会のスペシャルゲストは談志師匠。この間の、何度目かの引退宣言(?)から間もないけど、本当にいらっしゃるのだろうか。


どん帳が上がり、高座には志らくさん。短い挨拶の後、 「今日は私の25周年の会ですが、みなさんが待っているのは師匠の方だ、という空気が伝わってくる」 というようなことを言い、ここで談志師匠も高座へ登場。会場、割れんばかりの拍手。そこからはインタビュアー志らくさんとゲスト談志師匠、のような形でトークが続く。談志師匠、体はお元気そうだが 「もう、こんな声しか出ないので、落語なんかやれない」 と言う。 『立川談志という体の中から、立川談志が抜けてしまった状態』 だそうだ。志らくさんが 「師匠が落語をやらなくなったら、どうなるんでしょう」 というと 「まだ何年かはボケそうにはないけど、屍になるな」 とのこと。


志らくさんの会ということで、志らくさんの話をする談志師匠。 「この間、志らくの舞台をビデオで観たが、志らくの舞台は綺麗だ」 「志の輔志らく談春、談笑などが育ち、自分が落語家として生きてきた価値・誇りというものが残せたのではないかと思う」 などとお褒めのお言葉。
しかし、ご自身の話となると 「困ったもんだ」 「食欲も興味も何も無い」 「もう、感情注入する体力が無い」 などと弱気な言葉が続く。 「ということで今日は、落語はやらずジョークをやらせてもらう」 宣言。会場から拍手が起こると、 「同情の拍手をもらうようじゃぁ・・・」 と毒吐きをしていた。



さて、今日の演目。いつも書いていることだが、私は評論家でもないし、落語通でもない。ただの 『落語好き』 だ。だから、ひとつひとつの演目について、ああだこうだ語ることはできない。ただ、今日も志らく落語が聴けて良かったぁ、ということだけ。


「寝床」 は、いっぱい笑ったなぁ。スタートダッシュから一気に駆け抜けた感じ。だんながイイ声を出すために生卵を飲むところなんか、会場中が大笑いだった。牛の反芻運動って!
長屋の住人が義太夫を聞きに来られない理由を説明する番頭の茂造。面白かったなぁ。

お仲入り後は談志師匠のジョーク。何連発だったのかな?数えていなかったけど。久しぶりに、 『落語ちゃんちゃかちゃん』 が聴きたかったなぁ。確か、この間の紀伊国屋ではやったんだよねぇ。でも、今日のジョークも充分、楽しめた。
痛めた足が辛いらしく、会場に失礼を詫び、途中で正座を崩してあぐらをかいたのだが、どうしても左足が袴の裾から出てしまう。その足をたたきながら、 「こら、出てくるな(引っ込んでろ、だったかな?)」 と言って、会場を笑わせていた。 「俺は袴が似合わないんだ。志らくも似合わないけどね」 と師匠。 「落語家は、似合わない方がイイ(カッコいい・色気がある的な言葉だった)」 らしい。
後半、こんなこともあった。ネタも粗方、終えた様子の師匠。あとは何かあったかと、楽屋で書いたネタメモを弟子に持って来させる。タイトルを読んで、やってなかったネタを披露していたが、あるネタのタイトルを言ったところ、 「あ、これはサゲだから、言っちゃったらできねぇや」 だって。会場は大爆笑!
「20時からやったんだけど、いま何時?15分ぐらい?」 と会場に聞き35分だと知った師匠、 「もう、そんな時間?おしゃべりだなぁ」 と言って、時間だから、といきなり終了。


最後は、志らくさんの 「らくだ」 。前回、聴いたのは、去年の立川流若手真打競演 「立川流の若い衆」 の時だったなぁ。師匠の前で、この演目。敢えて、なのかな。兄貴分と屑屋のやり取りは、さすが!という感じ。兄貴分は怖く、屑屋はヘコヘコ。志らくさんの顔が、全く別のふたりの顔をしている。どんどん、話に引き込まれていく自分が分かる。酒が入り、両者の上下関係が徐々に入れ替わっていく様はやっぱり面白い。
時間が押していたためか、どん帳が下りてから再度上がることはなく、そのまま今日の会は終了した。今日も、イイものを聴かせてもらった。志らくさんの映画製作資金集めの時の話、笑ったなぁ。


ロビーでは、志らくさんのDVDを買った人のサイン会待ちの列ができていた。

出口に向かっていたところ、なぜかざわつくロビー。何と、談志師匠がロビーに出てきているではないかっ!
帰り客に色々と声を掛けられ、握手を迫られ、写真を撮られながら、静かに立つ師匠。私も握手をしてもらった。白くて、女性以上にふわふわと柔らかな手だった。
握手をしながら話し込むおじいちゃん、選挙の時のポスターを持っていると話すおじさん、過去の落語会の思い出を語るおじさん、など様々。そしてこの写真の男性は、師匠の本とペンを差し出してサインをもらっていた。私も何か話したかったが、とにかくすごい人で、目をみて握手してもらえただけで満足し、会場を後にした。

もちろん今日は、志らくさんの落語が聴きたくて会場に行ったのだが、やはり談志師匠の登場には興奮した。
「 『落語をやらなくても、居てくれるだけでいいから』 、と言われるが、やることがないということほど辛いものはない」 と言っていた談志師匠。それでもやはり、そこに居て欲しい。



・・・今日の重量【前日比0kg、基準日比−2.0kg】 ← 腹帯ごときで、そうそう毎日減るはずもなく。。。