深大寺のお散歩

昨日、深大寺の親戚の家に遊びに行った。深大寺のおばちゃんはお母さんの妹。私が大好きなおじちゃんとおばちゃんは東京での親代わりで、私を娘のように可愛がってくれる。子供が独立している息子ふたりなので、 「女の子はおしゃべり出来るからいいねぇ」 と言ってくれる。イイ年になった今でもときどき遊びに行っては、たらふくご馳走になってくる、何とも図々しい娘だけど。
商売をやっているため、日曜日もお店は開いている。遊びに行くといつもおばちゃんに 「家でゴロゴロしているなら、おじちゃんと深大寺にお散歩に行ってきなさい」 と言われる。そしておじちゃんと私は、その言葉に従う。出掛けようと支度を始めると 「羊羹とパン買ってきてね」 と言われる。私たちは 「分かった」 と従う。いつものお決まりごとだから、細かいことは聞かない。


おじちゃんと歩いて15分、神代植物公園の敷地に到着。ここの敷地はもの凄く広く、自由に遊べる広場や雑木林、有料の植物公園など、一日中いても楽しめる。今の時期はバラフェスタのようなイベントもないので、無料の公園の方をブラブラをお散歩した。

こんもりとした丘のようになった公園広場には、子供連れの家族がたくさんいて、それぞれがのんびりと休日を楽しんでいた。広場の周りは、のっぽの巨木がたくさんある雑木林。その中には、大きな紅葉もたくさんある。広場脇でいちばん赤く色付いている紅葉の大木があった。ちょうど日が差し、言葉では表現できない美しい姿。遮る巨木がない場所に立っているので、赤が濃く、とにかく見事だった。


真っ赤な紅葉の奥は、雑木林。その雑木林の中には広いスペースもあり、椅子とテーブルのセットや2〜3人掛けのベンチなどが設置されている。ここでお弁当を広げたり、ベンチでのんびり読書をしたり、自由に使うことができて便利。この日は、ベンチで本を読んだり居眠りしている人が多かったなぁ。。
雑木林は、落ち葉の量が半端じゃない!落ち葉が敷き詰められた静かな景色は、ドラマや映画を見ているようだ。この落ち葉、量が量なだけに、地面に薄っすらと敷かれているのではなく、かなり厚みがある。クッションの上を歩いているようにふわふわする。ふわふわの上をガサガサ音を立てて歩くのは、とても楽しい。


どんぐりがたくさん落ちていたが、帽子と体が分かれたどんぐりばかりで、帽子を被ったままのTHEどんぐり!というどんぐりは見つけられなかった。別々に拾って合わせてみたが、どうもサイズが合わない。 「どんぐりって食べられるのかなぁ」 と言うと、おじちゃんが 「人間の食べ物じゃなくて、クマの食べ物だろー」 と笑った。おじちゃんの田舎は福島。自然の中で育っているので、木の名前や特徴にとても詳しい。おじちゃんといると、図鑑要らずだ。 「クヌギのどんぐりは丸くて、ナラのどんぐりは長細いんだぞー」 とプチ情報をくれた。どんぐりって、みんな同じだと思っていたよ。一緒に持っているのは、カラタチの実。落ちていたので汚れているけど、正に 『まろいまろい金のたまだよ』 だ。


広い広い神代植物公園。紅葉を堪能したあと、おじちゃんに 「あっちには銀杏の木があるけど、行ってみるか?」 と言われた。ガイド付きのお散歩は有難い。 「行く、行く!」 とおじちゃんについて行った。

銀杏並木は、キレイに金色に輝いている木もあれば、葉がすっかり落ちて裸んぼうになっている木もあり、もう見頃は過ぎていた。それでもまだ葉の付いている木はキレイだった。この場所は住宅街に近いからか、ギンナンはみんなが拾って持っていくらしい。 「ギンナン、探してみようよ!」 と見たが、本当に無い。 「全部オスの木なんじゃない?」 とおじちゃんに言ったその時、ビニール袋を持ち、地面だけを見てウロウロする人が! 「ねぇ、あれ、ギンナン拾いの人?」 とおじちゃんに聞くと、 「そう、この間まではいっぱい落ちてたんだよ。みんな朝暗いうちから拾いに来るらしいよ」 だって。しょえー!


ふっふっふ。おじちゃんが見付けてくれたギンナンが1個。そして、もう1個は何と、私の頭の上に命中したギンナン。 「痛っ!」 と言った瞬間、地面にボトッと何かが落ちた音がして見てみたら、落ちたてホヤホヤのギンナンだった。おじちゃんも私も手ぶらで来たので、摘む器具も軍手も何も持っていない。潰さないように指で摘み、根元のレア部分を嗅いで 「うー、クサイ!」 。分かっていて嗅ぐんだから、バカな大人たちだねぇ。
私が握っていた、さっき拾ったどんぐりと、拾った落ちたてホヤホヤのギンナン、皮も取れて殻の状態になっていたギンナンをパチリ!

銀杏並木のある場所は、元は有料だったエリア。その名残りで、木に名前の札が掛かっていたり、日本の庭園を紹介するコーナーの名残りがあったりして、面白かった。
その中に、バラが何種類も咲いている場所があった。殆どのバラは終っていたが、それでもまだ、キレイな花を咲かせているバラもあった。美人なバラの顔たちを並べてみよう。


「そろそろ、羊羹とパンを買いに行くか」 とおじちゃんが言い、ふたりで本当の深大寺に向かった。日曜日ということもあり人出が多いことは覚悟していたが、いままでの休日とは違う人の多さにびっくり!今もまだ、ゲゲゲの女房ブームは続いているようだ。 「アド街深大寺をやってから、更に凄くなったんだよ」 とおじちゃん。そういえば 「今までは空いていたお店だって、行列が出来てるのよー」 と、おばちゃんも言ってたなぁ。
私たちは正面の門からではなく、坂の上にある裏手の門から境内に入った。


噂どおり、境内はいつもより人が多かった。おまけに境内の紅葉も色付いていたから、余計に人が多かったのかもしれない。 「お正月のお参りの時みたいだね」 と言いながら、ぐるり一周。改修工事も終った本堂は足場も無くなり、堂々とした姿を見せていた。本堂脇の大きな大きなムクロジの木には、実がいっぱい付いていた。落ちていないかねぇ、とふたりで足元を探したが、ひとつもなくて残念。


お参りを終えて参道に出ると、もっと凄い人の数だった。あっちゃー、大変!とにかく先に羊羹を買おう、と目指すは参道から少し離れた場所にある 「梅月」 さん。

梅月さんの羊羹は、とても優しい薄い色で、見た目どおりの優しい味がする。そして、いまはもう居ない梅月のおじいちゃん。おじいちゃんのことは5月の日記に長々と書いたので止めておくが今回、梅月の娘さんにとても嬉しいニュースを聞いた。
おじいちゃんが亡くなってから作れずにいたそばまんじゅうを近々、販売するという。あまりの嬉しさに 「おじちゃん、そばまんじゅうがまた食べられるんだってー!」 と大きな声で興奮しながら言った。すると娘さんが 「餡子は昔から作っているから同じだけど、皮はおじいちゃんしか作れなくて。 『今度教える』 と言ったままおじいちゃんが亡くなったから、同じものが出来ないの。でも、おじいちゃんの味を作ろうと、頑張ったんですよ。同じ味じゃないけど、試作品があるから食べていってください」 とお店の奥のテーブルに3個、そばまんじゅうを出してくれた。おじいちゃんのそばまんじゅうより、少し色が白い。でも、またそばまんじゅうが食べられることや、家族の皆さんがおじいちゃんの味を再現しようと何ヶ月も試行錯誤して完成したということを思ったら、有難くて有難くて。蒸したてで熱々のそばまんじゅうを、泣きそうになるのを堪えながら食べた。
娘さんに 「どうですか?」 と聞かれ、おじちゃんが 「うん、美味しいです!」 と言った。娘さんは私にも 「どう?」 と聞いた。私はまた、泣きそうになるのを堪えて 「美味しいです!でもそれよりも嬉しいです!」 と言った。娘さんはニコッと笑って 「ありがとう。おじいちゃんのように味は出せないけど、何とかお店に出せそうかな」 と言った。とっても嬉しかった。
3個目のおまんじゅうは、おじちゃんと半分ずつ食べた。羊羹を5本買って、美味しい餡子がいっぱい詰まった大判焼を買って、お店を出た。とっても幸せな気分だった。



羊羹とそばパンを買った深大寺からの帰り道。有料の神代植物公園脇を通る。おじちゃんが 「ほら、あそこを見てごらん」 と言った先には、植物公園内のかえで園が見えた。
「うわぁ、真っ赤なトンネルになっているよ!ベンチがあって、座って眺めている人もいる!」 と言ったところ 「あそこ、キレイだろう。お金を払わないと入れない場所に、キレイなかえで園があるんだよ」 と教えてくれた。いちばんキレイなカエデのトンネルを横目に通り過ぎてから、どうしても気になったので、網状のフェンスの隙間にカメラのレンズを突っ込み、写真を撮った。 「お金持ちのお屋敷に憧れる、貧乏人みたいだね」 とふたりでぎゃははは!と笑った。

銀杏も紅葉ももうピークは過ぎていたから、今年の紅葉はこれで見納めかな。素敵なお散歩、楽しかったぁ。


深大寺   土日の参道は混雑するのでお蕎麦屋さんへはお早めに。
●梅月   調布市深大寺元町5-12-13 TEL:042-482-1424




・・・今日の重量【前回比0kg、基準日比−3.6kg】 ← 減る兆し無く じっと腹見る・・・