夢を買う

仕事のある日はほぼ毎日、お昼をご近所の料亭でいただく。夜は高くて行けないので、私にとってはランチのみのお店。ランチはいつも13時半前後なので、お客さんも殆ど居なくなっている。カウンターにひとり座り、女将さんとお話しながらのランチ。女将さんは私のことを 「クジ子ちゃん」 と呼ぶ。 「あらぁクジ子ちゃん、いらっしゃい」 ってな感じで。
それは何故かというと・・・


答えは簡単。宝くじの高額当選を夢見る夢子だからだ。そして女将さんも。以前、私が10万円を2回当てた、と話してから、本名じゃなくてクジ子って呼ばれるようになった気がするなぁ。カウンターに置かれた日経新聞には目もくれず、一緒に入っているマンションのチラシを見ては 「これ、3億円当たったら買う?」 とか、 「この間取りより、こっちの方が良いよね?だって、3億円もあるんだから」 「赤坂より青山でしょ。汐留の方が便利かなぁ」 などと真面目に話す私たち。その様子を見て、元お相撲さんの社長 (女将さんのご主人) は、 「お前たちは幸せだなぁ」 なんて、呆れ顔で見ている。



今年も発売中の年末ジャンボ宝くじ。女将さんは 「1日の大安に買う!」 と張り切っていたが、その日は忙しくて買えなかったらしい。今日のランチのときに 「私ね、今日の夜、西銀座で買うよ。大安だし、ラッキー7だしね」 と言うと女将さん、 「私の分も買ってきてちょうだい」 と言う。 「いいよ」 と軽くお返事する私。
夜。いつも高額当選が出る西銀座チャンスセンターには、長い列。ひえぇー、発売日でもないのに、この行列!?しかももう、20時だよー!この時間、開いている窓口は1番、3番、7番。よく当たると言われている1番は、長蛇の列。ラッキーセブンの7番も、そこそこの列。3番は、数人のみ。さぁ、困った。自分の分だけなら長嶋さんの3番で買うところだが、今日は女将さんの夢も背負っている。やっぱり1番かなぁ。
ということで、仕入れた宝クジ。クジ子のわりにはいつも、買うのは1万円まで、と決めている。3000円×30枚で9000円。それを女将さんに話すと、 「じゃぁさ、10500円ずつ出して、あと10枚買おうよ」 とのこと。それイイね!と乗った私は、初めて窓口で 「70枚ください」 と言った。


当選金をめぐって殺人事件まで起こる宝くじ。女将さんに 「ふたりで買った10枚が当たったらどうする?」 と言うと 「そりゃぁ、クジ子ちゃんと半分に分けるだけよ」 と、さらり。そうだよね、それだけのことなのにね。各々の30枚は最初に分けるんだから、事件なんか起こるワケないよね。お金って、怖いから。。。買った宝くじの番号なんて、控えないからね。
どうか、少額でもいいから当たりますように。
あ、敷いた手ぬぐいの雨ニモマケズに 「慾ハナク 決シテ瞋ラズ」 って書いてあるわ。