嫌だよね


今日は、定期的に通っている病院へ。予約時間に遅れて到着したため、少し順番を待つことになってしまった。
待合室にはいろんな人がいる。もちろん、みんなどこかしら体に不調があるから来ているわけで、そのせいでイライラしたり、老夫婦が口論したり、入院手続きで緊張の表情をしていたり、様々。


そんな待合室の入口付近で、少し大きな声が聞こえた。背が低く痩せた80歳ぐらいのおばあちゃんと、付き添いの大柄な男性。男性は若く見えたからお孫さんか介護職員さんかな。さっきまでふたり並んで座っていた気がするが、今は揃って立っている。どうやら、おばあちゃんが帰ると言い出し、それを男性が止めているようだ。おばあちゃんは、少しオドオドした感じではあるが 「入院なんてするぐらいなら帰る!」 としっかりした口調で男性の顔も見ずに声を上げる。 「まぁ、診察があるから座って」 と男性。おばあちゃんは頑として座らない。


少しして名前を呼ばれ、ふたりとも診察室へ。おばあちゃん、なかなか診察室に入ろうとせず牛歩戦略を試みるも、敢えなく…。
そして診察室から出てきたふたり。先に男性が出て、その後ろをおばあちゃんが重い足取りで。ハンカチで頬をおさえること右、左、右、左。涙が止まらない様子だ。小さい体が、更に小さくなったように見える。その後ろから看護師さんが 「では、詳しい説明はあちらの部屋で」 と声を掛ける。どうやら入院するようだ。
嫌だよね、入院。おうちに帰りたいよね、おばあちゃん。
なんかもう、かわいそうでかわいそうで見ていられなかった。あのおばあちゃん、どうしてるかなぁ。