2016年3月11日

あれから5回目の3月11日。
4回目までは眩しいほどの青い空だったが、今年初めて、雨空の3月11日となった。海風が冷たい。あの日も被災地は、こんな風に寒かっただろう。海の水は、冷たかっただろう。着の身着のままでの避難は、どんなにか寒く、心細かっただろう。



以前ここにも書いたが、東日本大震災の直後、北野武さんがインタビューで語っていた言葉を思い出していた。


この震災を 「1万人が亡くなったひとつの事件」 と考えると、被害者のことを全く理解できない。
人の命は1万分の1じゃない。
そこには 「1人が亡くなった事件が1万件起きた」 ってことなんだ。
1万通りの死に、それぞれ身を引き裂かれる思いを感じている人がいて、その悲しみに耐えてるんだ。


14時46分。
横浜港には、船の汽笛が響き渡った。
少し離れたところに立っていたおじさんも帽子を取り、海に向かって黙祷をしていた。


死者15894人、行方不明者2561人。
たくさんの人が想い、想われた一日が終わり、また明日がやって来る。