楽しくもあり、寂しくもあり


この人ほど、他人に優しい人に会ったことがない。この人ほど、他人を支えるという所作を自然にできる人に会ったことがない。
今日は、そんなお友達、鉄子ちゃんとのお出掛け。5月には関西にお引越ししてしまうので、今日が最後かなぁ。ずっと楽しみにしていた展示会 「俺たちの国芳 わたしの国貞」 に誘った。いやぁ、面白かったぁ!浮世絵って、こんなに繊細で、ダイナミックで、魅力的なんだね。200年ほど前にはもう、こんなにステキなお着物があったのかぁ。どの絵もとにかく、素晴らしかった。期間中、もう一度、行かなくちゃ。


東京での最後の晩餐に選んだのは、岩手出身の友人がやっている浅草にあるお店。
鉄子ちゃん、岩手大好きだもんね。この間も、花巻まで行ってきたばかりだし。岩手の、地元の人が食べるようなお菓子も大好きだもんね。
鉄子ちゃんのお酒は、私みたいにグビグビ果てしなく飲むタイプではなく、ほんの少しの量をちょっぴりちょっぴり舐める程度。それでも一緒に、岩手のお酒を楽しんだ。
せっかくだから、お料理を全部記録しておこうっと。こちらは生湯葉。上は刻みわさびと塩ウニ。


ホッキ貝の生姜醤油炙り。
これ、美味しかったぁ。生でいただくよりも、軽く炙った方が美味しいそうだ。
うん、そのとおりだね。生だともっとゴリゴリした歯ごたえだが、これはふわっ、ふわってな歯ごたえなんだよね。
生姜醤油も、イイ!


お椀。 「中のお魚、何だか分かります?」 と聞かれ 「うーん、鱈?鯛?ソイ?」 と言うと 「アイナメです。旬なんですよ」 と。身がホロホロ繊細で、美味しかったなぁ。
「汁はなんだか分かります?」 と聞かれ 「摺り流し!」 と言うと 「それは、ねぇ。素材ですよ」 「蕪?」 「ホワイトアスパラです」 「へぇ」
もうひとつの具材、たまご豆腐がとっても美味しい!と言ったところ、作りたてだとか。上の緑は蕪の葉。硬いイメージがあるが、生えたばかりの部分は柔らかくて美味しいそうだ。



進むお箸、進むお酒。


鯛の薄づくりと、とり貝。
鯛はもちろん、このとり貝がまた、美味しかったぁ。普段、貝があまり得意でない鉄子ちゃんも、これは美味しい!と言っていた。良かったぁ、喜んでくれて。


この辺で、9人の団体さんの食事が始まり、お酒も進み、賑やかになってきた。


大きな粒の焼き牡蛎
あまりの美味しさに、私たちも負けじと声が大きくなる。 「うーん、美味しいっ!」
少し経った頃、私たちの前におかわりの焼き牡蛎が。 「声が聞こえたんで」 と店主。ありがとうございます!


鯛の白子の粕漬け。酒粕は、鷲の尾だとか。
これ、今日の私のいちばん!
本当はもうひと切れあったのだが、写真の前に欲望が抑えきれず、パクッと行ってしまった。焼いたクリームチーズか?というねっとり感。たまらんねぇ。


ここまでけっこう食べたと思うが、ここでステーキ!茨城県産だそうだ。お塩は宮古の塩、付け合せは、うるいとフリルマスタード鉄子ちゃんは、お隣の食用ほおずきに興味津々。
よく食レポで 「口の中で溶けます!」 なんて言っているのを聞くが、それがこれね。お肉って、極細の繊維で繋がっているんだねぇって思った。あー、幸せ。
幸せついでに、鉄子ちゃんと旦那様の写真を見せてもらう。お相手の方は優しそうで、鉄子ちゃんにぴったりね。良かった、ヨカッタ。


おっ!とここで、伊勢海老の天ぷら。
踊ってる!お祝いの舞だね。結婚おめでとー!ってな感じで。イイねぇ。


今日の浮世絵のこと、京都にできた鉄道博物館のこと、関西への引越しのこと、岩手のこと、鉄子ちゃんのボランティア活動のこと等など、話が止まらない。


毎度のお楽しみ、店主の手打ち蕎麦。
今日は藪川だそうで、とろろそばでいただいた。あー、美味しい。藪川はイイなぁ。


気付くと団体さんも蕎麦段階へ。 「とろろにする人ー?」 と誰かが声を掛けると、ほとんどの人の手が上がっていた。ふふふ、正解!


デザートは、桜のティラミスと酒粕アイス。
酒粕アイスは、お酒が得意でない鉄子ちゃんにも大好評。良かったぁ。もう、満腹八兵衛!


帰り道、満腹のお腹を突き出し、 「なんか、お腹から先に歩いてる気がするー」 なんて笑いながらテクテク。もう、こんなこともできなくなるのか。寂しいなぁ。でも、鉄子ちゃんが結婚するのはめでたいなぁ。幸せになって欲しいもんね。
そういえば、一緒に京都にも行ったよね。今度は私が行ったら、京都を案内してもらえるかも、ね。うん、楽しみ、楽しみ!鉄子ちゃん、お幸せに