立川談笑 月例独演会 其の177回


「今年を振り返って話をしようとすると嫌なニュースばかりで、話しているこちらまで、どんどん悲しくなってしまいます。悪いこと、嫌なことは雨あられのように降ってくるそうです。良いこと、楽しいことは足元にあり、わざわざ拾わないといけないそうです。できるだけ明るく楽しいことを拾って集めて欲しいと思います」
昨日は、今年最後の談笑月例。年末恒例の人情噺を終えたあと、下りるどん帳を制し、談笑さんはこんなことを仰った。このあと全員で三本締めで終了。


この日の演目。月例なのに、最初に一番弟子吉笑の 「一人相撲」 。驚く会場に吉笑さんが言った 「談笑が遅刻をしまして…」 。まさかのスタートに、大きな笑いが起こる。やっと登場した談笑さん。 「プーチンさんだって遅刻しましたからね」 で、再び大爆笑。 「遅刻はしましたが、きちんと三席やらせて頂きます」 で大きな拍手が起こる。
最後が大好きな 「文七元結」 で嬉しかったなぁ。談笑さんの文七元結、最後の結び方が大好きだ。あったかい最後に、更に注がれるあったかい結びの一コマ。これがイイ。うん、良かったぁ。



あまりに気分が良かったので、帰りは国立演芸場からJR有楽町駅まで歩いて帰ることにした。
国立演芸場のお隣、最高裁判所の植栽が、暗がりにありながらあまりにも明るくキレイだったので近寄ってみたところ、植栽の上に街路樹の銀杏の落ち葉が積もっていた。


あー、キレイ、キレイ。


三宅坂の交差点をお堀の方へ渡った時、月がとても明るく光っていた。
その月がお堀の水面に映り、冷たい空気に 「あー…」 と声を漏らした。
「あー、一年が終わるなぁ」 12月に入って初めて、そう思った。


この景色に見とれて立ち止まる足元に、今年の楽しかったことがたくさん落ちているような気がした。