初めての・・・

ひとりラーメン、ひとり映画、ひとり旅、ひとり落語、ひとりファミレス、ひとりライブ等など、私はどれも平気だ。ひとりでプラーッと出掛け、ひとりでお店に入って、ひとりで食事をするのは何とも思わない。友達の中には 「そんなの絶対に無理!寂しいじゃん!」 というコもいるが、そんな風に思うことももう、なくなった。


そんな 「おひとりさま」 が平気な私でも、どうしても足を踏み入れることができなかったのが 「ひとりカラオケ」 。最近は、何人かでカラオケボックスに行く機会も少なく、行っても歌わずに聞いていることの方が多い。カラオケが嫌いなワケではないが、最近の曲や、いま売れている曲などをよく知らないので、自然とそうなってしまう。
「ひとりでカラオケに行ったら、好きな曲を好きなだけ歌えていいだろうなぁ」 とは思うが、どうも入り口にあるカウンターで 「ひとりです」 と言う勇気がない。あのカウンターが高い高いハードルなのだ。
入り口の手前まで行ってウロウロして結局入れずに帰る、ということは今まで何度やったか分からない。チャレンジしてもダメなものはダメ。私の中でカラオケは 「誰かと行って楽しむ場所」 なので。


昨日は仕事が休みだったので、電車に乗り、まつ毛のエクステを付けに行った。天気の良い日だったので買い物でも行こうかと思ったが、何となく疲れが溜まっているし、いろいろとゴタゴタしたこともあって気分がスッキリしていなかったので、とりあえず自分の最寄駅まで戻ってきた。
寄りたい店もなく、買い物の必要もない。お腹は空かず、やらなければいけない事は山積み。とにかく何もかもが中途半端な自分がモヤモヤ人間で嫌いだ!と思い始めた。「あー、スッキリしたいぃ!!」
そんな時ふと、ひとりカラオケをしてみようかな、と思った。そう思っては何度も失敗している、ひとりカラオケ。今日ももちろん、カラオケ店の前を何度も何度もウロウロした。受付カウンターには、バイト風の男の子と女の子が立っている。女の子は楽しそうにギャハギャハ笑っている。「このコ、何か嫌だ。ひとりって言ったら、後で笑われそう」 と思った私は、用もない近くのコンビニに寄り、少し時間を潰してから再び、カラオケ店に行ってみた。


カウンターには、おとなしそうな男の子がひとりだけ。さっきの女の子の姿はない。行くなら今しかない!


「あのー、ひとりでも大丈夫ですか」
受付の男の子は驚く風もなく、普通に機械的に受付をしてくれた。会員カードを無くしたので、再発行手続きもした。「お時間はどのぐらいにしますか」 と言われ 「とりあえず1時間半で」 と答える。1時間だと足りなそうだし、2時間だと長そうだし。
平日昼間のカラオケ店は空いている。ボックスに入るまで、誰にも会わずに済んだ。ボックスに入っても、ひとりなので声を発することが無い。 「何を歌おうかな」 も心の中で呟く。何か、寂しいなぁ。。。
ま、そう思ったのは最初の10分ぐらい。やっと歌い出すと、何のことは無い。自分の世界にどっぶり浸かり、次々と曲を入れる。ひとりだから忙しい。

廊下を人が通る度、私のボックスを覗いているような気がして、声が小さくなる。女の子がひとり、ガラスドアにぴったり張付き、中を覗いた。自分のボックスが分からなくなったのか、私がひとりかどうか確かめたかったのか、ニヤニヤしながら覗いた。すごく怖かった。。。


そんなこんなで歌いまくること1時間半。インターホンが鳴る。 「あと10分ですが、延長はいかがなさいますか」 と言われた。あと5曲ぐらい予約している曲があったので 「じゃ、30分延長します」 と返事をした。
ひとりカラオケでは、1曲歌い終わる度に曲を探していたのでは時間が空いてもったいない。歌いながら何曲が予約しておき、続けて歌えるようにする。
30分後、またインターホンが鳴った。 「じゃ、あと30分いいですか」 とお願いした。だって、予約している曲がまだ残ってるんだもん。入るときはドキドキしたくせに、いざ入ったら夢中じゃんか!


結局2時間半のひとりカラオケデビュー戦が終了。喉が痛い。自分の歌の下手さにガッカリだ。
でもスッキリしたぁ!いいなぁ、ひとりカラオケ。次は、歌いたい曲をちゃんと考えてから行こうっと。
ん? また行く気なのか? おひとりさまで。