立川志らく独演会  〜志らく、百年目を語る〜


今日は、銀座ブロッサムでの立川志らく独演会。
会社を出るのが遅くなり、新富町駅のホームから長い階段を走った走った!ゼーゼー言いながらも何とか間に合うことが出来てホッと安心。今日は2階席。高座を上から見下ろすというのは何ともしっくり来ないが、チケットが取れただけでもヨシとしよう。会場の900席はガッチリ埋まっていた。
【今日の演目】 「火焔太鼓」「疝気の虫」「百年目」
今日の演目は良かったなぁ。私は評論家でもないし、落語通でもない。ただの 『落語好き』 だ。「今日の志らくは云々…」 と語れるほどの知識もない。でもやはり、今日の落語会は観て聴いて、本当に良かったぁ。

プログラムではいまの落語家に関する志らく考察が半分を占めていた。そして今日の演目についても志らくさんの思いが書かれている。

「火焔太鼓」 は十八番であり、顔見世興行的な匂いが多少するが、侍に対する町人の恐怖から生まれた感情の爆発という隠れたテーマを見つけだしたので、今回やらせていただきます。

侍に、太鼓を叩いていた甥のことを紹介する件では、歴代落語名人の紹介パターンが次々と飛び出し、落語好きの客を喜ばせてくれた。
侍が殿様の屋敷に太鼓を持ってくるように言って去り、それを女房に告げた時のお屋敷話も、凄く面白かった。侍に対してどれだけの恐怖を持っているのか、テンポよくポンポーンと言葉が飛び出す。まさに感情の爆発!笑ったなぁ。

「疝気の虫」 は、現時点で志らくの狂気の落語の代表になれる話。6月にはこの落語の後日談を演劇で演じます。 「志らく25周年 演劇らくご 『疝気の虫』 」、志らくの集大成をお見せする予定です。

志らくさんは今日、噺に入る前にこう言っていた。 「この噺は、こういう大きな会場でやるものではなく、30人ぐらいの志らくマニアだけの前でやるような噺。本来は 『考え落ち』 の噺だが、私のは 『破裂落ち』 です」 と。
これもまた、笑った笑った。旦那の体の中に居た疝気の虫が、目の前で蕎麦を食べる奥さんの方を目指して体の中を上がっていくところが面白かったなぁ。志らくさんの顔芸ならぬ体芸、たまらん。

そして 「百年目」 。長いこと、この噺を退屈な人情噺だと思っていました。落ちも面白くない。理想の上司がテーマだといわれているが、私は上司と部下が、人間対人間でぶつかった時に、友情以上のものが見えてくるのではないかと気がつき、それで今回ネタおろしをさせていただきました。落ちも、言い方を変えれば、ちゃんと意味が出てきて面白くなるはずです。
新しい 「百年目」 が誕生出来るかどうか、お楽しみください。

楽しんだ。心の底から楽しんだ。どんどん引き込まれて、笑って、泣いた。落語で涙が出るって、本当にあるんだな。
栴檀と南縁草の辺りからいいなぁ、と引き込まれていった。番頭さんがこの店に連れられてきた部分に入る前、私が好きな志らく落語独特の空気が襲ってきた。
会場の空気がピーンと張り詰め、会場中の呼吸がピタッと止まったような、一斉に全員が緊張するような、そんな瞬間が志らくさんの落語では時々ある。それが今日は、このときだった。何か不思議な力が働く瞬間。この緊張感がたまらなく怖く、たまらなく好きだ。そしてその緊張を徐々にほぐしていくような語り口が最後まで続き、落ちで緊張から完全に開放される。志らくさんの落語は、観ているこちらも心地よい疲労感がある。好きだなぁ、志らくさんの落語。


旦那様が番頭さんにあと一年経ったら店を持たせてやると言い、その一年で直して欲しいところを告げる場面。 「お前さんは怖すぎる。愛情のない小言を並べられても、言われた方はたまったもんじゃない」 というところで番頭さんと自分を重ね、あーそうかなぁ、と反省。
27日は談春さんの会だ。先週は談笑さん独演会だったし、今月は贅沢だなぁ。



立川志らく公式ウェブサイト   私も大好きなZAZEN BOYS向井秀徳)ライブでの落語を書いたブログは熱い!