深大寺のおじいちゃん

昨日、神代植物公園の帰り、叔母に頼まれた漬物を買いに深大寺の参道へ寄った。この日記にも度々、登場する深大寺神代植物公園とは隣同士にあるため、バラ園に来た人たちがそのまま深大寺に立ち寄るらしく、参道は平日とは思えないほどの人混み。

「うへぇ、平日なのに。 『ゲゲゲの女房』 効果かぁ?」 と思いながらも、まずはお参りをしてから、と深大寺境内へ。
しばらく修復工事のために幌をかぶっていた本堂も姿を現し、いつもの深大寺になっていた。青空に本堂がくっきりと映え、いつも以上に堂々とした姿。お久しぶりです!
参道はもの凄い人混みなのに、境内にはそれほど人がいなかった。みんな、お参りはチャッチャと済ませ、お蕎麦やお土産を目指すらしい。深大寺のお守りを付けたお財布からお賽銭を取り出し、手を合わせ、自分や家族、病気の友達の健康快復を祈った。


深大寺をお参りするとき、大抵の人は本堂を目指してスタスタ通り過ぎるが、私は入り口のこの門がとても好き。どっしりとした屋根が付いた門。何ていう造りだったかなぁ。この間、雑誌の特集でお勉強したばかりなのに全く頭に入っていないじゃん。ここから離れるのが勿体ない気がして、しばらく門の下に立って考え事をしていた。あー、涼しい。
さ、こうしてばかりもいられない。叔母に頼まれた小ナスの漬物を売っているのは、鬼太郎茶屋の真向かいのお店。ピリ辛で食べ易く美味しい小ナス・・・無い!あれれ??お店のおばちゃんに聞いてみたら 「ちょうど、切らしてるのよ」 とのこと。あー、残念!小ナスをつまみにビールをグビッ!の夢、破れる。。。

蕎麦屋さんはどこも混んでるし、叔母へのお土産もなくなってしまった。そうだ!そばパンを買って帰ろう。これまた、深大寺に行くといつも買って帰るお土産。

そばパンとは、そば粉の入った茶色いふかふかのパンに、餡が挟んであるパンで1個200円。パンといっても蒸しパンね。美味しいんだよねぇ、ホント。私のお気に入りのそばパンは炒めた高菜が入ったパン。親戚のお姉ちゃんおススメの、何も入っていないそばパンも好き!今日はかぼちゃ餡、うぐいす餡、高菜、何も入っていないパンの4種類を2個ずつ買った。
「持ち帰りなら、冷ました方にする?」 とお店のおばちゃんに言われたので、そうしてもらった。その場で食べるならホカホカが良いが、持ち帰りだと蒸気で汗をかくので、冷ました方が良い。冷めてもふかふか具合は変わらないから不思議。

あと、買い忘れたものは・・・と考え、 「あ!大事なものを忘れてた!」 と向かったのは、和菓子のお店。以前の日記にも登場している 『梅月』 さんだ。美味しい羊羹&そばまんじゅうを売っているのだが、人気のため売り切れが多い。この間も、売り切れで買えなかったんだよねぇ。ま、ダメ元で行ってみるか。
梅月さんは、参道から少し離れたところにある。お店に入ると、お客さんは私ひとり。お店の方がふたり、奥の席で何やら作業をしていた。

いつも羊羹が置かれている場所をみると、あった!羊羹。思わず 「あー、羊羹があるー!良かったぁ」 と声に出してしまった。
梅月さんの羊羹は、色が薄く、とても上品で優しいお味。1本500円。原材料は小豆・白いんげん・砂糖・寒天とシンプル。作っているおじいちゃんの人柄が、そのまま表れている羊羹だ。水羊羹のようにさっぱりしていて、食べた後も口の中に甘くねっとりした感じが残らない。余計なモノが入ってないため、日持ちは5日ぐらい。でも買えないことが多いため、叔母はお店で見付けると10本ぐらい買って帰る。今回は私ひとりだし、腰痛持ちで重いものは持てないので、4本だけ買った。それでも買えただけラッキー!


この羊羹、包装紙も可愛い。端を止めてあるテープも、手作業です!的な感じで止めてあって、見ているだけでホッとする羊羹だ。
そうだ、そばまんじゅうは?お店から見える作業場を覗いてみたが、おじいちゃんが居ない。そばまんじゅうはおじいちゃんがココで蒸しながら売っているので、おじいちゃんが居ないと買えない。蒸し器は動いていない様子。作業場もガランとしている。
お店のお姉さんに 「今日は、おじいちゃん居ないんですか?」 と聞いたところ 「おじいちゃんね、亡くなったの。だから今は、そばまんじゅうは売ってないのよ。おじいちゃんしか作れなかったから」 とのこと。

「えー!」 と言ったあとはもう、涙が出て止まらなくなった。お姉さんはそんな私を見て 「ありがとうね。お話好きなおじいちゃんだったからねぇ」 と言った。私は泣きながら 「そう、いつも30分ぐらい捉まりました」 と震える声で言った。
もうね、よく分からないけど止まらないの、涙が。で、話も止まらない。 「おじいちゃん、いつもそばまんじゅうをオマケしてくれたの」 とか 「趣味の写真のこととか娘さんのこととか、何でも話してくれたんだよ」 とか、 「いつもそばまんじゅうの蒸気を浴びてるから、お肌がツヤツヤでねぇ」 とか、もう自分でも何を言っているのか分からないんだけど、言葉も涙もいっぱい出てきて。
毎日通っていたワケじゃなくて何ヶ月かに一度しか来られないけど、ここに来れば必ずおじいちゃんに会えて、 「もうすぐまんじゅうが蒸しあがるから、それまでお話して待とうか」 って言われていっぱいお話して、お会計の時は一緒に計算して。いつもそこにあるもの、居るものが消えてしまう寂しさって・・・。
お店のお姉さんは 「今は羊羹しかできないけど、そのうちそばまんじゅうもまた、作れるようにするからね」 と言ってくれた。
 

自転車で叔母のところに帰り、おじいちゃんが亡くなったことを伝えた。 「最近、お店に姿がないから気になってたけど、何となく聞けなかったのよ」 と言っていた。叔父にも伝えた。 「そうかぁ、寂しいなぁ」 と言っていた。
同じように思っているお客さんが、きっとたくさん居るよ、おじいちゃん。今までいっぱいお話してくれてありがとう。


深大寺   どの駅からもバス便なので、事前によく調べてから行きましょう。
●梅月  調布市深大寺元町5-12-13 TEL:042-482-1424



・・・今日の重量【前日比0kg、基準日比−2.6kg】 ← 羊羹の味がいつもより美味しく思えるけど、食べ過ぎ注意だね