小さな、大事な、古時計

先週の月・火曜日、私は叔母の家に居た。その日、叔父は留守にしていたため、叔母とふたり二日間、たくさん話をした。もっとも叔父は口数が少ないので、そこに居たとしても私たちが話すのを聞いているだけなのだが。
その夜、叔母から 「ひとつ、お願いがあるんだけど」 と頼まれたことがある。

「この古い腕時計ね、電池交換をしてベルトを付けて欲しいの」 と言われた。見ると、いかにも古そうな時計。叔母の家は商売をしているので、なかなか外出することが出来ない。
「それにしても古いねぇ」 と言うと 「SEIKOの方は、お父さんが結婚して初めて買ってくれた時計なの。結婚してからプレゼントなんてもらったことがなくて、もらったのはこれだけなのよ。もう40年ぐらい前の時計だから、動かないかしら。電池交換に出したら笑われるかもね。トムとジェリーの方は、お兄ちゃんが小学生の時に初めて買ってあげた時計だから、これも30年以上前のものよ。こっちも動くかしらねぇ。思い入れがあって捨てられなくって」 と言われた。

そんな思い出の時計なら、ダメ元で修理に出してみようよ!と預かり、すぐに時計屋さんに持っていった。そして今日、出来上がった時計を受け取りに行った。

ど?新品とは言わないまでも、使えるようになってるでしょ。おばちゃん、喜ぶだろうなぁ。
お金を支払う時、思っていたより金額が安かったので、お店の人に 「あれ?見積もりより安くないですか」 と聞いたところ、 「あー、これねぇ、どちらも電池じゃなくて手巻きの時計なんですよ。だから電池代はナシです」 とのこと。ギャハハ!そんなことも忘れられてしまうぐらい古い時計だったんだー!時計の入った透明の袋にはメモ用紙が入っていて、 『手巻きです』 と赤文字で書いてある。あまりに可笑しくて、 「そうなんですか〜!」 と言いながら笑ってしまった。おばちゃーん、しっかりしてぇ!

家に帰って早速、叔母に電話した。 「時計ねぇ、新品みたいにキレイになって、ちゃんと動いてるよ!それでねぇ、これは電池式じゃなくて手巻きだってよー!」 と言うと、叔母は 「あら、そうだったかしら。あまりに古い時計で、お店の人は笑ってなかった?恥ずかしい思いをさせちゃったでしょ」 と聞いてきた。 「大丈夫、ちゃんと直してくれたから」 と言うと、 「あらー、良かったぁ」 と嬉しそうな声。
いつも無口な叔父からこの時計を受け取った時のことや、今は子供がふたり居るお兄ちゃんが小学生の頃、 「これが欲しい!」 と選んだ時のことを思い出しているのかな。叔母・・・東京のお母さんに親孝行が出来たような気分。
できるだけ早く、持って行ってあげようっと!



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