ナマケモノな一日

今日から9月、外は真夏。こんなに暑くて、本当に今年も冬は来るのだろうか。
そんな今日はお休み。最近ずっと体がヘロヘロで、毎朝 「もう、無理だから!」 と思いながら仕事に行っていた。今日から丸ビルで高野山イベントが始るので今年も行きたかったけど、外出準備をするパワーも出ない。お掃除とお洗濯だけは何とかやったけど結局、一歩も外に出ないまま一日が終わった。あー、ナマケモノ。ホントに何もしない日って、大人として酷いなぁ。でももう、私の負け。夏に降参!のナマケモノ


体が縦長になれないので、ベッドにゴロゴロ。コンタクトを入れるのも面倒で、ぼんやりした視界でテレビの音を聞き流す。どこまでナマケモノなんだ!お昼寝をして起きたらお腹が空いたので、とりあえず冷蔵庫の藤稔を食べた。甘くて美味しくて、少し元気が出た。
うーん、こんな日は静かに読書でもしようかねぇ、ということで、半分ぐらいまで読んでいる本を通勤バッグから取り出して読んだ。



『ほんとうは怖い 賢治童話』 〜宮沢賢治・厳選アンソロジー
この間、帰省した時に買った本だ。賢治童話の中から23篇の “大人のための、コワくておもしろい” 話を集めたもの。昔、読みあさった賢治童話だが、学生の頃に読むのと、いい歳の大人になったいま読むのとでは、全く面白さが違う。やっぱり賢治童話は大人のための童話だ。童話だから主人公は動物とか昆虫だったりするが、職場でのいじめ、実力がないのに偉そうにするやつ、酒の失敗、業の深さ、嫉妬の怖さなど、大人だからこそドキッとするお話ばかり。人の世界は、賢治の時代から全く変わっていないんだなぁ、と思い知らされる。人がやることって、そうそう変わらないものらしい。


23篇の作品のなかでいちばん最初にあるのが 『洞熊(ほらくま)学校を卒業した三人』 というお話。赤い手の長い蜘蛛と、銀色のなめくじと、顔を洗ったことのない狸が一緒に洞熊学校で学び、それぞれの卒業後の生活を書いたお話だ。仲の悪い3人は結局、最後は死んでしまう。賢治童話では、登場人物(動物・植物)は容赦なく死ぬ。とことん辛い目にあったうえで死ぬことも多い。それが賢治童話は怖いと言われる理由のひとつだと思うが、とにかくあっさりと 「死んでしまいました」 と言ってしまうのだ。
昔むかし、この作品を最初に読んだ学生の時、えらく気に入ってしまった私。さて、どこが気に入ったのか。


狸のうちはお寺。困った動物が次々に相談に来るのだが、うまいことを言って次々と食べてしまう。
このお寺で祀っているのは山猫大明神さま。唱えるのは 「念仏」 ならぬ 「念猫(ねんねこ)」 。 「なまねこ、なまねこ、なまねこ」 と繰り返す。例えば、教えを説くときに 「わしの云うとおりにさっしゃれ。なまねこ。なまねこ。」 という風に、必ず最後に 「なまねこ」 が付く。このリズムが可笑しくて可笑しくて。話の内容は恐ろしいのに、この 念猫 「なまねこ」 が気に入り、暫く頭の中に残ってしまって困ったっけ。言葉の最後に 「なまねこ」 って付けたくなっちゃって。


今日の休日は何もしなかったなぁ、なまねこ。こんなナマケモノじゃぁいけないよ、なまねこ。猛暑はいつまで続くのかなぁ、なまねこ。明日からまた、お仕事がんばらなくちゃ、なまねこ。


洞熊学校を卒業した三人   テキストで全文掲載しているページがあったのでご紹介。



・・・今日の重量【前日比+0.2kg、基準日比−1.8kg】 ← ここから脱出できないものかねぇ。。。