さようなら!お菓子部長

今日はちょっと、悪魔モードかも。。。と前置きをしておいて、っと。
あ、本文と画像は全く関係ありません、と断っておいて、っと。さぁ、行きますか。



そのアラフォー女子社員は、 「お菓子部長」 と呼ばれている。もちろん、名刺に書かれている肩書きではないし、本人は知らない役職名だ。だって、私が勝手に付けた役職だもん。
どの会社でも、お客様からの手土産や同僚の旅行土産などで箱菓子を頂くことがあるだろう。うちの部署でも時々、お客様からお菓子を頂くことがある。応接室でお客様とお会いし、お菓子の入った紙袋を持って席に戻ってきた同僚は必ず、そのお菓子を未開封でお菓子部長に渡す。 「これ、みなさんでどうぞ、だそうです」 と。お菓子部長は 「ありがとう」 と言って受け取り、即開封。 「うわー、●●のクッキーだ。ここのクッキー、美味しいんだよねー」 と、とりあえず独り品評会。そのあと、くるっと振り返り、後ろの席の私に 「このクッキー、知ってます?」 と聞く。有名なお菓子はわりと知っているので 「知ってるよ、美味しいよね」 と言うと 「美味しいですよねー」 と満足そうに椅子をくるっと机の方に戻す。
彼女のプライドを傷つけないようにと思い、5回に1回ぐらい且つ余力がある時は 「食べたことないなぁ」 と言ってみるのだが、そう答えると後が大変!どこがどう美味いとか、お店はどこにあるとか、他にもこんな味があるとか、お菓子部長自身が満足するまで喋り続ける。適当にパソコンに向かったまま 「へぇー、そうなんだぁ」 と気の無い相づちを打つのだが、残念ながらお菓子部長は、その 「気の無い」 部分に気付いてくださらない。透明で小さくて強力な耳栓があるといいのに。。。と何度、思ったことか。



お菓子部長は、お菓子の減り具合にも厳しい。
ひと通り部署のみんなに配り終えると、付箋紙に 「ご自由にどうぞ」 と書いてお菓子箱に貼り、共用の書類が置いてあるデスクの未使用スペースに置いておく。午後出勤や夜勤で出勤してきた人にはひとりずつ 「あそこにお菓子があるから、ご自由にどうぞ」 と席まで行って声を掛ける。
親切丁寧な対応だ。 「食べてない」 という人を作らない、全員に必ず配布する、というのがお菓子部長の使命だからだ。その人がパソコンで入力中だろうが、電話の保留中だろうが、お菓子部長には関係ない。パソコンの入力よりも、 「ホワイトチョコとミルクチョコと、どちらを食べたいか」 を確認することの方が、お菓子部長には重要だからだ。任務遂行に全力投球だ。
私がいま仕事をしている部署は、24時間365日、人が働いている。17時には仕事を終えてお帰りになるお菓子部長には、17時から翌日の9時までは大切なお菓子が文字通り 「ご自由」 になってしまう時間。もちろん、お帰りになる17時には、お菓子の残量をチラ見することを忘れない。そして翌朝、出勤すると 「ずいぶん減ったねぇ」 と誰に話しかけるともなく、大声でつぶやく。本来、つぶやきというのは小声でするものだが、お菓子部長は地声が大きいので、そこにいる全員に聞こえてしまう。 「あー、昨夜の深夜はJさんが居たんだもんね」 とまた、つぶやく。Jさんは、おじさんだけど甘いモノが大好きだからだ。あー、可哀相なJさん。他にも深夜勤務の人がいたのに、全ての容疑があなたに掛けられていますよー。ま、夜勤明けで既に帰ったからヨシとするか。



飲み会で 「無礼講」 と言いながらも本当の無礼講は有得ないのと同じで、お菓子部長の 「ご自由にどうぞ」 は信じてはいけないのだ。だからこそ、最後の3個ぐらいはいつまでも箱に残ってしまう。悲しそうなお菓子。。。決してみんな、美味しくないと思っているわけじゃないんだよ。その残された少しのお菓子は、お菓子部長の手によって、その場にいる女子社員に配給される。 「もー、この何個かだけがいつまでも残っているから、食べてしまいましょ!」 と。お菓子部長、それは残っているんじゃないんですよ、残しているんですよ。だって、残しておかないと、 「あれー、昨日の帰りまでは8個あったのに、全部食べちゃったのかなぁ」 って大声でつぶやくじゃないですか、部長。
お菓子部長は、お菓子のキープにも全力を注ぐ。うちの部署ではなく、他の部署がお菓子を大量に頂いたときには、内線でお菓子部長に連絡が入る。 「女子のみなさん、休憩室にシュークリームがあるそうなので、食べてくださいだって。数がそんなにないので、女子だけだって。早く行かないとなくなっちゃうかもよー!」 と叫ぶ。お菓子部長、地声で充分、聞こえますから。お客様と電話で話し中の社員もいるんですよ。
私は休憩室に行かないのを知っているお菓子部長は、しっかりと私の分も持ってきてくださる。親切だ。要冷蔵でも関係ない。いま食えってことッスか。大事な書類を作っているところなのに。 「カスタードとチョコとイチゴと3種類のクリームがあったんですけど、カスタードでいいですか?取り替えてきましょうか?」 と言われるが、お菓子部長にまた休憩室に行って頂くなんて、そんなお願いはできない。私は与えられたものを有難く頂きますので、ご心配なさらずに。3回も聞かなくて良いですよ。1回で分かりますから。 「本当はチョコ味が良かったのに」 って私の顔に書いてありますか?本当に、カスタードで良いですから、私を書類作成体制に戻らせてください、お菓子部長。



お菓子部長は、時に恐ろしいことをやらかしてくださる。ある時、取引先の社長さんが会社にいらした。気さくな社長さんは、社員のみなさんにもご挨拶をしたい、と私たちの部署まで顔を出してくださった。手には、有名な和菓子屋さんのお菓子を持って・・・。部署の責任者と挨拶を交わした社長さん、 「これ、みなさんでどうぞ」 とお菓子を手渡した。責任者は 「じゃ、遠慮なく頂きます」 と、その袋を近くにいたお菓子部長に 「あとで、みんなで頂いて」 と手渡した。するとお菓子部長、その場で紙袋を開いて覗き込み 「うわー、●●の和菓子ですね。これ、美味しいんですよねー。ありがとうございます」 と言った。お菓子部長以外の全員が、その場で凍りついたのは言うまでもない。お菓子部長、手土産の品評を、お客様の前でやってはいけません!
これが、一度や二度ではないらしい。確かにそうだ。同僚が持ってきた旅行土産のお菓子も、必ずひと言、何か言わずにはいられないらしい。 「あー、ちんすこうって、●●のがいちばん美味しいよね」 とお土産とは別のお店の名前を挙げる。 「あー、このお菓子、前も●●さんからもらったよね」 と別の人の名前を挙げる。ホワイトデーにお菓子をくれた男子社員がいるところで、別の男子社員からもらったハンカチを見て 「食べ物じゃないものをもらった方が嬉しいよねー」 と言って、その場をまた凍らせる。


お菓子部長、あなたの功績は大きい。あなたの言動から、私たちはいろいろと学んだから。あなたがご主人の転勤で退職なさってから数日、私たちは本当の自由を手に入れ、 「ご自由にどうぞ」 という付箋紙が貼られていなくても各々自由に、お客様から頂いたお菓子を食べていますよ。みんな、大人だから。食べたい人は食べ、苦手な人は手を出さず、本当に自由を満喫していますよ。私なんか、昨日は好きなお菓子を3個も食べちゃった。誰も見ていないのに 「もう1個もらいまーす!」 と言ってしまうのは、お菓子部長の厳しい目に耐えた日々で、自然に身に付いてしまったマナーかもしれなぁ。
お菓子部長、新しい職場でも頑張って!新しい職場は、女子だらけらしいですね。どんなに私たち周りの人間が大人だったか、どんなに同僚に恵まれていたかは、別の職場に行ったらお分かりになると思いますよ。うふふ。


この日記にお菓子部長が辿り着く、なんて恐ろしい未来が来ませんように。。。



・・・今日の重量【前回比−0.2kg、基準日比−3.6kg】 ← あー、胃袋がジャンクフードを激しく要求!!もう限界かも。。。