『立川談志 一門会』 よみうりホール

今日は、有楽町のよみうりホールで立川談志一門会。2ヶ月ぶりに家元の姿が見られる。声は?体調は?談大さんのことは?勝手にひとりで悶々と考えながら向かう。 「余計なお世話だ!」 と家元の声が聞こえてきそうだ。
前回の談志一門会トークでは、 「談志の名を継ぐのは?」 という山中さんの振りで色々な話が聞けた、濃い家元トークの一門会だった。今回も、よみうりホールは満席。立川流の人気は凄いね。
先に、いつものゴメンナサイ事項。私は評論家でもないし落語通でもなく、ただの20年ほどタラタラと落語に通っている落語好き。単なる自分用記録のため、通の皆様の参考にはなりませんので。検索で覗いてくださった方々、ゴメンなさい。


今日の開口一番は平林さん。昨日は数十人の会場での落語だったそうだが、今日は1200人のホールで 『浮世根問』 を家元に許された名古屋弁バージョンで。汗を拭き拭き、河村たかしバリの名古屋弁で通した。何せ、会場は東京のド真ん中。最初こそ笑いが出たが、段々とその声も薄くなっていく。 「ここは名古屋弁が分からないと」 と言葉を説明しながらの、大変そうな落語だった。


続いて志遊さん。家元同様、体が心配だったけど、元気そうで安心した。無くなった髪の毛をネタに 「1年で5歳、歳を取っているので、師匠談志より先に死ぬと思う」 と言って笑わせていた。やっぱり、健康がいちばんだね。
今日の演目は 『笑い茸』 。笑わない旦那さんが、真面目で真っ直ぐな語りをする志遊さんにピッタリだった。あまりにも教科書みたいな硬い口調に、途中でニヤニヤしてしまった。笑い茸を食べてからの旦那さんの大笑い、可笑しかったなぁ。



中トリは志らくさん。枕でかなり笑わせ、会場はほっかほかの状態のまま 『金明竹』 へ。あれ?この間の落語入門で聴いたばかりだよねぇ、と思いながら途中で気付く。あっ!この間は談笑さんの津軽弁バージョンだったんだ!。
今日の志らくさんの金明竹は、英語バージョン。これがまた、とてつもなく面白くって。会場は終始、笑いの渦。そう、 「笑いの渦」 ってこういう状態なのね、と知った今日の志らくさんの落語。笑い過ぎて途中、涙まで出てきて大変だった。それほどたたみ掛ける志らくさんの落語。さすが志らく!という盛り上がりだった。
志らくさんの英語と談笑さんの津軽弁志らくさんの強気な与太郎と談笑さんのグダグダ与太郎、おかみさんの雰囲気、最後の落ち等、同じ金明竹だけど志らくさんと談笑さんの違いが楽しめて、すごく得した気分。とにかく顔を普通の状態に戻すのが大変なほど、笑わせてもらった。


お仲入り後は談笑さん。今日は枕も短く、 『時そば』 へ。何度か聴いているが、やっぱり談笑バージョンは面白いね。
空中に投げて口キャッチをするところが好きで、いつも大笑いしてしまう。そばじゃなくて 「うどん?」 と言ってしまう、啜り方も好き。
これだけのお客さんがいると、いつもの独演会よりは毒が少なくなるのは仕方ないか。談笑さん、今日はちょっと元気がないように見えたけど、気のせいかな。


そしていよいよ、家元登場。いつものように会場を何度も指差しながら高座へ。会場、割れんばかりの拍手。もの凄い拍手だった。声は、やっぱり辛そうだ。 「体調は良いんですよ」 とご本人の口から聞いて安心したが、食欲は無いそうだ。バナナ、柿、リンゴ、ナシなどばかり食べているそうで、 「チンパンジーのようだ」 と笑わせる。 「今日は落語を一席やります」 という言葉にまた、割れんばかりの拍手が起こる。
そして今日の落語は 『へっつい幽霊』 。噺に入ってからあれ?あれ?あれ?と思っていたらやっぱり、 『落語チャンチャカチャン』 だった!落語が終ってから、おまけのように 「じゃ、最後に落語チャンチャカチャンをやります」 と始めるのではなく、落語の中でやるのかぁ。気付いたら始まっていた感じでビックリ!今までのように早く流れるようなチャンチャカチャンじゃなく、噺の中で自然に入り、しかもテンポもゆっくりだったので気付かなかった。でも、気付いてからは面白くて面白くて。
落語チャンチャカチャンは、いろんな落語の一部だけを摘まんで上手く繋げた家元ならではのお遊び。聴いているこちらも落語の試験を受けているようで、笑いながらも緊張してしまう。違う噺に入った瞬間に気付けるかどうか、その噺の題目は何なのか、そこが勝負。分かる人にはとても面白く、分からない人にはちんぷんかんぷんだ。私なんか、家元に付いていこうと、必至に頭をフル回転!モーターが切れそうになる。噺の繋ぎ部分の上手さが、家元の上手さなんだろうな。チャンチャカチャンの中で芝浜のラストも聴けちゃった!
今日も、家元の流れるような手の動きはキレイだったなぁ。博打の場面でサイコロをいじる手の動きなんて、本当にキレイ過ぎて見惚れてしまった。ご本人はもう落語はやらない、とおっしゃっているが、それでもやっぱり談志落語を生で聴いていたい。


会が終わり、ロビーに人が少なくなった頃、家元が弟子たちや山中さん、松元ヒロさんなどと一緒にロビーに出てきた。関係者たちと立ち話をする家元を、客は囲んで勝手に写真を取り、弟子たちは離れて見ていた。当たり前だが、今日はその弟子たちの中に、談大さんの姿はなかった。家元は前回のように客と話したり握手したりすることもなく、お帰りになった。残念だったけど、近くで家元が見られて幸せ。痩せていたなぁ。



今日の会場でも売っていた、今月発売の志らくさんの本 『立川流 鎖国論』 。これはとにかく面白い。落語が好きな人にはおススメ。そして立川流落語が好きなら必読だ。
あまりに面白くて、夜だけでは時間が足りなく、会社の昼休みにも読んでいた私。ニヤニヤする私を見て、同僚たちが気持ち悪がっていた。電車の中でもニヤニヤしていたから、周りの人は気持ち悪かっただろうなぁ。立川流のこと、家元のこと、志らくさんのこと、弟子たちのこと、とにかく面白い。
今日、会場で売っていたのはサイン本だったよ。
うーっ・・・。




・・・今日の重量【前回比0kg、基準日比−3.8kg】 ← はてなで日記を付けはじめて 「666」 日と悪魔の数字の日だったけど、こちらの数字は何とか留まった。ふーっ。