もうすぐ朝が来る

依然として、地震による津波被害を受けた地域に住んでいるお兄ちゃん家族や親戚、友達たちと全く連絡が取れない。ネットをいろいろ見ながら、とうとう朝が来ようとしている。悲惨な映像がどんどん追加されていくネットの世界。これは現実なんだろうか。
自分が生まれ育った町で、大好きだった青い海が真っ黒になり車や家をのみ込む映像を見て、思わず 「うわっ!」 と小さく声が出てしまった。あんなに優しい海が、こんなことを。
「壊滅的な被害」 って何?海が穏やかで青く輝き、人がみんな優しくて、訛り言葉がやわらかくて、海の幸が抜群に美味しくて、そんな全てに一体、何が起こったの?こんな映像、私の知っている三陸海岸じゃない。自然に涙が溢れてくる。
大丈夫、私以外の同僚は皆、デスクで眠っているから。



夕べ、 「大船渡市内で中学生23人が行方不明」 というニュースを見て、上のチビがこの23人の中に居るのではないか、と心臓がバクバクした。連絡が取れないのは、チビをお兄ちゃんたちが探しているからではないか。悪い方へ、悪い方へと思考が向かう。
先ほどネットのニュースを見てみると、この23人の中学生の生存が確認された、とのこと。良かった、子供たちが無事で本当に良かった。



もともとうちの家族は、ネットや携帯電話の操作に明るくない。きっと、災害ダイヤルの存在だって知らない。停電しているから携帯電話の充電が切れてしまい、連絡ができないのだ。自分たちがどうやってこの夜を過ごすか、それを考えることに、生きることに今、必死なんだ。そう思いたい。



どうか、どうか、今日こそ無事を確認できますように。
天国のお義姉さん、まだお兄ちゃんや子供たちを連れて行かないで。家族みんなのことを守ってちょうだいね。