さようなら、赤プリ

朝、会社の最寄駅である地下鉄の赤坂見附駅で電車を降りて地上に出ると、目の前に見えるのは赤プリ
夜、仕事を終えて会社を出ると、正面には点々と窓に灯りがともる赤プリ
春、赤プリの足元には、たくさんの桜が咲く。
冬、赤プリには巨大ツリーのイルミネーションが輝く。



その赤プリが今日で営業を終了した。赤プリ赤坂プリンスホテル。数年前からは名称が変わって、グランドプリンスホテル赤坂になった。それでも、誰もが 「赤プリ」 と呼ぶ。
バブル終盤に学生生活の終わりを迎えた私。女子大の卒業式の後、謝恩会の会場は赤プリだった。男子が車を出し、赤プリまで送迎するのがお決まりだった。うちはデッカイ四駆、うちはBMW、うちはZとか、そんな話を学校でしていた。懐かしい。
会社が近くになってからは、ランチに行ったり、取引先との食事に使ったり、会社の忘年会をしたり、帰りが遅くなって泊ったり、スイーツフェアに行ったり、いろいろとお世話になった。この日記にも、たびたび書かせてもらった。28日に桜の開花宣言があった東京。来週には赤プリの足元の桜も、咲き始めるだろう。そっか、もう桜イベントもないんだなぁ。寂しいね。




今日の仕事帰りは、前回の日記に書いた同郷の同僚と一緒にビルを出た。すぐ目の前に、赤プリが現れた。
赤プリ、今日で最後だね。いろんなものが無くなっちゃうね」 と言う私に、同僚は 「そっかぁ、今日が最後だっけ。そういえば、灯りが殆どないもんね。そんなことも、忘れてたなぁ」 と言っていた。田舎の大震災や会社での部署異動が重なった私たち。毎日がバタバタで、それ以外のことをあれこれ考える余裕がなかった。
地下鉄の入り口に来たところで 「ちょっと寄るところがあるから、ここで」 と言って別れた。寄るところなんか、ないのに。エクセルホテル東急から赤坂見附交番のところまで掛かっている歩道橋。ここから見る赤プリがお気に入りなので、最後の赤プリの姿を改めて眺めた。建物はいつもと同じようにそこにあったが、窓の灯りは殆どなく、暗闇に溶けそうだった。
お疲れ様でした。そしてありがとう。



解体が始まるまでの3ヶ月間、赤プリは、被災した方々の避難所として提供されることが決まっている。