高校球児の春

春季高校野球岩手県大会、沿岸地区予選が12日から開催された。
宮城県福島県は震災の影響で中止されたが、岩手県高野連は開催を決めた。津波の被害を受けた沿岸地区は沿岸南地区、沿岸北地区、久慈地区でそれぞれ予選が行われ、優勝校が県大会へ出場することになる。だが、東北大会は中止が決まっている。


そして今日、沿岸北地区では宮古高校が県大会への出場を決めた。当初は山田町の球場で開催する予定だった地区予選。その球場はいま自衛隊が使っており、宮古市の球場は海の前にあり津波にのまれた。何とか使えそうな宮古高校のグラウンドを整備しての地区予選。
どの学校の生徒も、その家族も、その住んでいる町も被災した中での開催。それぞれのチームが、いろんな思いを胸に戦う。


ある高校は、そのグラウンドに仮設住宅が建っている。
ある高校は、学年ごとに他の高校の校舎を借りて授業をしており、他校との合同練習をしてきた。
ある高校は、グランウンド整備を行って練習を再開できたのが、予選の2日前。
ある高校は、レギュラー9人のうち家が残ったのは3人だけ。
地区予選の期間中、こんな新聞記事を毎日読んでいた。
負けた学校の監督は言った。 「練習不足はうちだけじゃない。環境が整っていないのも、うちだけじゃない。でも、勝たせたかった」 。


どの学校も勝たせたい。どの学校も地元の期待を背負っている。どの生徒も一生懸命だ。
勝ち抜いた学校は県大会で、負けた学校は夏に向けて、またそれぞれの野球生活が始まる。