リビング落語会 「今年最後の立川志らく独演会」 よみうりホール

今日は、年末年始前の最後の休日。そして、 「今年最後の立川志らく独演会」 。私にとっても、今年最後の落語会だ。
談志のお別れの会が一昨日。昨日のツイッター志らくさんが 「芝浜」 をやると言っていたので、お仲入り前は何をやってくれるのか楽しみにしていた。そして開演前に配られたリーフレットに書かれていた今日の演目は何と 「富久」 。今日は、気力体力勝負だ!なんて、こちらも気合いが入る。
リーフレットにある志らくさんの言葉の中にも 「年末の大ネタ二席。落語ファンならばいかに乱暴なプログラムかはお分かりだろう。しゃぶしゃぶにステーキみたいなもんだ」 とある。上手いこと言うなぁ。
この1枚のリーフレットには、志らくさんの師匠に対する想いが詰まっている気がした。大事に取っておこう。


どん帳が上がると、高座に志らくさんが上がっていた。談志のこと、お別れ会のことを少し語る。
そして今日のゲスト、ミッキー・カーチスさん登場。ブルースハープで1曲披露したあと、今度は志らくさんとミッキー・カーチスさんで 「ふるさとの話をしよう」 をブルースハープで。この曲は、立川流一門が集まったときは必ず歌うことになっている、談志が大好きな曲とのこと。ブルースハープの音色が沁みた。志らくさん、イイ顔してた。



落語一席目の 「富久」 。
今日の独演会のことを 「観客の期待値が私の独演会では過去最大」 と言っていた志らくさん。最初は志らくさんも会場も緊張しているような空気だったが、やっぱり良かったなぁ。あの、若干 「疝気の虫」 が入ったような驚きようには、笑った!いろんな人の富久を聴いたが、驚きの場面はそれぞれ個性がみえて面白い。


お仲入りの後は、 「芝浜」 。そういえば志らくさん、談志のお別れの会の話をしたとき、 「あの会には後日談があるんですよ」 と言って続けた。ニューオータニでのお別れの会は会費制だったそうで、受付をした係がその預かったお金 (の一部?) を会場の引き出しの中に忘れてきたそうだ。その金額が何と、42万円!恐ろしや、談志の奇跡。ここでどっと笑いが起こるということは、落語好きの集まる会場ならでは。
最後の告白の場面、私の後ろに座っていた人は、鼻ズルズルで泣いていたようだった。女房の告白をひと通り聞いた後に亭主の方がグッと泣き堪えた数秒間、良かったなぁ。今年の落語締め括りが志らくさんの芝浜で良かった。


今朝、お母さんからメールが来たので 「今日は今年最後の落語に行ってくるよ」 と返信した。すると、有楽町に向かっている電車の中でまた、お母さんからメールが入ってきた。いつものように 「また落語〜!?」 なんて書いてあるのかと思って読んでみたら、今回だけは違っていた。 
「良かったねぇ。いっぱい楽しんでいらっしゃい!嫌なこと、悔しかったこと、今年起きたこと、みんな忘れて大笑いしていらっしゃい!来年は良い年になりますようにって。母さん、雪が止んだので、今から雪かきで〜す!」


震災で自分なりにたくさん考えたこと、遠くに住んでいるから家族や友達たちを思うように手伝えなくて悔しかったこと、お母さんには全部、バレていたんだ。お母さんとふたりで、生まれ育った町の壊滅的な状態をみて言葉を失くした、あの日のあの場面を思い出した。電車の中で、泣きそうになった。
そっかぁ、岩手はもう雪なんだよね。年末年始は私が雪かきするから、待っててね!お母さん。