ふたつ結び

何とか続いている、毎晩のお片付け。
昨日の夜、いろんなものがゴチャゴチャ入っている素敵な和紙が貼られた小箱を片付けた。その中に、ヘアゴムがひとつ。なんの飾りもない、ただのヘアゴム。毎日使っているものと同じ、青いヘアゴム。
同じゴムがふたつになったので、何年か振りに髪をふたつ結びにしてみた。うふふ。


小さい頃はよく、ふたつ結びをしていた。お母さんが、ふたつ結びが好きだったのだろう。小学校低学年ぐらいまではお母さんに結んでもらい、大きくなって自分でできるようになると、三つ編みのおさげを練習したりして。
今でも、小さい子供がふたつ結びをしているのを見ると、可愛くてたまらない気持ちになり、ニコニコしてしまう。うちのチビたちの髪もよく、結んであげたなぁ。今でも帰省すると、ヘアゴムとヘアブラシを手に 「Lちゃん、髪結んでちょうだい!」 と言ってくれる下のチビ。上のお姉ちゃんは中学生なのでもう、自分で好きなように結んでいる。


あれは、いつ頃だったかなぁ。もう東京で働くようになってからだったかなぁ。とある花の協会が母の日のイベントとして、母親に向けての作文を募集した。応募作品の中で選ばれると、カーネーションの鉢植えにその作文を添えて母にプレゼントしてくれる、という企画だった。
作文というより詩に近いものを書いて応募したところ当選し、田舎のお母さんに鉢植えと作文が届けられた。母の日の夜、お母さんから、 「ありがとうね。作文を読んで、涙が出だぁよ」 と電話をもらったっけ。
その作文の中に、 『娘のおさげ髪を結ぶのが好きな人』 と書いた。小さい頃は、私が嫌がっても、いつも私の髪を結んでくれたもんねぇ。久し振りのふたつ結びで、そんなことを思い出した。



大人になると、なかなかふたつ結びをすることがない。自分の家の中ならあるだろうけど、ふたつ結びで外を歩くなんて出来ないもんなぁ。


ふたつ結びは、幼いことの象徴だ。いつもふたつ結びのコが髪を下ろすと、大人びて見えたもんね。
大人の女性は、ひとつ結び。自分が持っているヘアゴムを見ても、どれもひとつ。同じ飾りが付いたものをふたつ買うことって、大人になってからは無いもんね。ふたつ結びの限界は、高校生までかな。
私の髪は、小さい頃から細くて少ない。ひとつ結びで会社に行った時、同僚のお姉様に言われた。 「Lちゃんの髪、ひとつ結びにしても細いねー。小さい子供が無理やりふたつ結びにしたみたいに、小さくて可愛いわぁ」 って。おいおい、それって誉めてんの?


そして今、ふたつ結びにした自分を鏡に映して思う。
ゴムの部分、細っ!確かに、小さい子供のふたつ結び並みだ。たはは。