深呼吸を誘う花

ちょうど2週間前のこと。仕事中、いろんなことがあって息が詰まり、外の空気を吸いに外に出た。外に出た、といっても目的の場所もなく、会社の周りをテクテク、いやウロウロ歩いた。 「頭を空っぽにしないとっ!」 と考えている時点で、頭は空っぽではない。こうなるともう、頭の中のモヤモヤは消えない。目の前の風景も、全く自分の中に入って来ない。
あー、モヤモヤ・・・。


そんな、見ているようで見ていない風景の中を歩き続けること数分。歯医者さんの角を曲がったところで、今まで色の無かった風景にパッと赤が飛び込んできた。

椿かぁ。キレイな色だねぇ。
ビルだらけの白とグレーの中に、鮮やかな赤。
モヤモヤが一気に晴れた。晴れた、というより、この赤を見て自分が戻って来たような、そんな感じかな。何かのスイッチが押されたような、そんな感じかもしれない。
やっと、息を吸えたような気がした。しかも、とびきりの空気を。



その近くには、乙女椿。
やっと戻った呼吸が、ハッと止まるような美しさ。そして、止まった呼吸の後は、何倍もの量の空気を吸って深呼吸。乙女椿の周りも、とびきりの空気に囲まれているようで、それを分けてもらいたかったから。


ほんの数分のお散歩でモヤモヤが晴れたのは、椿のおかげ。椿たちは、 「いえいえ、ただココで咲いていただけですから・・・」 なんて言ってるかもしれないなぁ。うふふ。