四角と丸の魅力

最近、お気に入りの建物がある。
東京駅の脇に登場した商業ビルKITTE。旧東京中央郵便局の一部を残しながら新しく建てられた、日本郵政の商業ビルだ。郵便局だった頃の建物を覚えている人なら、この建物を見て 「おぉー!」 と声をあげるだろうね。
私も始めてKITTEを見たときには、そうだったもん。



東京中央郵便局が新しいビルに生まれ変わる、と知った時は、とても残念だった。堂々とした構え、切手シートのように四角が正しく並んだ窓、とにかくその外観が大好きだったからだ。
それが、どうだろう。工事中の様子は記憶から飛んでしまい、 「あれ?外壁塗り直して、照明を増やしただけ?」 なんて思ってしまうほど、同じ外観。大好きな四角い窓は、商業ビルらしい明るさも加わり、より一層、その形をアピールしている。
あー、この四角、ポラロイドカメラで撮ったら最高なのになぁ。


夜、赤坂→銀座→有楽町→東京駅とテクテク散歩をすると、最後に登場するのが、このKITTEの姿。
商業ビルなのに、妙に落ち着きがあって、たまらない。自分がこのビルの中に入って買い物をするよりも、外からずっと眺めていたい気分になるんだなぁ。好きなショップも、美味しい食べ物もたくさん入っているのに、ねぇ。
右端の方には、ちゃんとあの、丸い時計もあるんだよ。いやぁ、その保存に対する姿勢に頭が下がるとともに感謝。お隣の東京駅も、新しいけど懐かしい姿になったもんね。


今日は日曜日だからか、いつもより駅舎やKITTEの写真を撮っている人が多かった。
KITTE側から東京駅に入る時はいつもココ、東京駅南口。そしてこれが、話題になったドーム天井。東京駅が新しくなってから、上を見ながら歩くことはあっても、立ち止まってじっくり見たことはなかった。うーん、見事だねぇ。
真ん中にあるのは動輪型の装飾、そこからつつつーっと視線を下ろしていくと、小さな緑色の丸、その緑の中央に白い色が見える。これが、ひとつひとつ、方角を表す干支のレリーフになっているそうだ。八角形なので、レリーフは八つ。子 (北) 、卯 (東) 、午 (南) 、酉 (西) は無いらしい。この距離だと、どれがどのレリーフか分からないね。
鮮やかな黄色、柔らかい緑色など、その組み合わせも素敵だ。100年前の写真は白黒のため、それを元にこの色を再現するのは難しかったそうだ。古いものを残しながら再現するというのは、大変なことなんだなぁ。


これから数十年、数百年経った後、 「古いものを生かしながら再現しよう!」 なんて言ってくれる人はいるのかねぇ。