ゆったり時間


月曜日31℃、火曜日28℃と暑い日が続いているが、今日は少し涼しい。お母さんが植えたナスの花も、少し楽そうに見えるね。
早起きをして、上のチビのお弁当作り。前回は、小さい真空パックのサラミをお弁当袋に入れたところウケたらしいので、おかずよりもオマケをどうしようか、そればかり考えていた。今日のオマケは、駄菓子屋さんで売っている小さいひと口プリン。もちろん、お友達の分も、ね。みんなで 「きゃははは!」 って笑ってくれたら嬉しいなぁ。


チビたちが出掛け、ふーっとひと息ついてもまだ、7時半。私にとって実家は年中、サマータイム実施中!だ。いつもより1〜2時間は前倒しだもん。 「あまちゃんまで、あと30分もあるよー」 なんて言って、お母さんに笑われた。うちはいつもこんなだよ、って。お母さんも毎日、大変なのね。



「お昼ご飯ぐらいに病院に着けばいいから、ゆっくりしてなさい」 とお母さん。ゆっくりして、って言われても、何もやることもないしなぁ。
お庭のアジサイはまだ、こんな感じ。ひと雨、欲しいね。


田んぼの稲たちは、まだ背が低い。
いつもの帰省は夏だから、もっと伸びてお米が入っているもんね。
黄色いタンポポと綿毛のタンポポ



病院に行くと、いつものおじいちゃんのベッドが空になり、窓際のベッドに移っていた。ひと足先に病室に入ったお母さん、おじいちゃんの病室が変わったのかと思いオロオロし、窓際のベッドにいるおじいちゃんに気付かなかったらしい。ココ、と思い込んで見ちゃうと、そう思っちゃうよね。ビックリした!って言っていた。窓際は明るくていいねぇ。中庭のスズカケノキ、大きい!ここ、5階だよ!


今日のリハビリは、ベッドに腰掛けてみることが目標らしい。ベッドの上で上体を起こすだけで目が回ると言っているのに、足を下に垂らすなんて大丈夫なんだろうか。まだ術後三日だよ。


リハビリの先生と研修に来ている看護学校の学生くんと、ふたり掛かりで足や体を上手に支え、ベッドに腰掛けた状態にしてもらったおじいちゃん。始めは足が突っ張ったり痛かったりしていたようだが、徐々に慣れてきたようで、10分ほどその姿勢をキープできた。もちろん、先生に支えられながらだけれど。それでも、おじいちゃん自身が 「ここまで出来たんだ」 と思えたことは大きな意味があったようだ。血圧の変化も小さく、問題ないようだ。


窓の外のスズカケノキのキレイな花や山の緑を観て 「うーん、イイなぁ」 と呟くおじいちゃん。うん、イイよね!お母さんも嬉しそうだ。


おじいちゃんのお昼ご飯、続いてリハビリ、と自分たちのお昼ご飯のタイミングを逃したお母さんと私。お腹の空き具合も微妙だ。 「じゃ、コーヒー飲んで帰ろうよ」 と、お母さんを連れて喫茶店へ行った。

盛岡は三本柳にある喫茶店 「KuRa珈琲」 。以前、盛岡近郊に住んでいた若かりし頃、何度も通った喫茶店だ。その名の通り、蔵を改造した店内は落ち着きがあって、店主のヒゲのおじさんのコーヒー話が楽しくて、夜な夜な出没したんだよね。
今の実家とおじいちゃんの病院の間に建物があるのは運転をしながらチラ見していたが、いまも営業しているかどうかは分からないままだった。
車を降りて建物に近付いてみると、店の前にヒゲの店主がしゃがんでいるのが見えた。 「庭いじりをしていたもんで。どうぞどうぞ」 と言われ、喜んで店内へ。


あー、ここだ!店内の様子が目に入ってきた途端、ずっと昔の記憶が一気に色付いた。あの、若かりし頃の自分が、今の自分の体にすーっと降りて入ってきたような気がする。
お母さんと窓際の席に着き、チーズケーキとコーヒーのセットをお願いした。ここのコーヒーメニューは凄い。いろんな国、いろんな味のコーヒーがたくさんあって、素人の私たちにはさっぱり分からない。セットのコーヒーは、チーズケーキに合うコーヒーを店主がチョイスしてくれるとのこと。有難い。
それからゆっくりと、コーヒーを待った。ずっと話し続けるお母さん。私は相づちのみ。こういう時間が、お母さんには必要だったんだ。


濃厚なベイクドチーズケーキに、少し苦めのコーヒー。嫌なコーヒー感が口に残らない、美味しいコーヒーだ。お母さんはレアチーズケーキ。少しもらって食べたが、ねっとりし過ぎない上品なケーキで、これまた美味しかったぁ。
それから私たちとカウンター内の店主と、三人でコーヒー話が続いた。保存方法や美味しく淹れる方法など、知らなかったことをたくさん教えてもらって、楽しかったぁ。いつもは必ずお砂糖を入れるお母さんが 「私、これからはお砂糖入れないで飲もうっと!」 だって。この台詞、今まで何度、聞いたことか。でも、ダイエットのためでなく、美味しく飲むための台詞として聞いたのは初めてだね。


KuRa珈琲を出て、スーパーで買い物をしてから家に帰り、夕飯の支度までの間、少しお昼寝。この、少しのお昼寝が大事なんだよねぇ。うちの人たちは、よくお昼寝をする。少し時間が出来ると、 「ちょっと寝べぇ」 って言うもんね。イイことだ。

じぃばぁの部屋でゴロンと横になったとき、ふと頭を上げると、ベッドの脇におじいちゃんの杖が同じようにゴロンと横になっていた。
この杖、いつから使っているんだっけ。確か、二代目だよね。おじいちゃんの右手にギューッと握られる部分は、色が所どころ剥げているね。よくガーン!って倒しているから、傷だらけだ。この杖が、おじいちゃんの全てを支えてくれているんだねぇ。


また、この杖を握って少しずつでも歩けるようになるといいなぁ。