帰省最終日

やっと、夜が明けたらしい。夜中に何度も目が覚め、無理やり寝る。それの繰り返しだったので、眠った感があまり無い。
が、今日は帰省最終日。チビたちとは、朝でバイバイだ。まずは、6時半に家を出る上のチビ。テスト二日目なので、とにかく頑張れー!と送り出す。次は、7時過ぎに家を出る下のチビ。犬を抱っこして家の外に出て、見送った。最後はお義姉さん。新幹線の時間がもう少し遅かったら盛岡駅まで送っていくと言ってくれたが、今回は午後早めに帰るため、 「じぃばぁを宜しくね」 と言って出勤を見送った。


ここからはお母さんとふたり。昨夜のことを思い出すと口もききたくないが、そうも行かない。お昼ご飯の時間には家に帰って来られるよう、早めに家を出て病院に向かった。病院までの道のり20分間、ずっと 「結婚しないのか」 「こっちでお母さんが相手を探してもいいか」 「いつまでもひとりで居られないんだから」 の繰り返し。あー、まだ昨夜からの熱が冷めきっていないようだ。もう、車を止め、降りて逃げたい!


そんな昨日のコトを全く知らないおじいちゃんは、元気そうに迎えてくれた。昨日はリハビリの先生に車椅子に乗せてもらって、ご飯を食べたそうだ。そうかぁ、すごいね!
今日、東京に戻ることを伝えると 「今回は悪かったなぁ」 とおじいちゃん。 「頑張って、また自分で歩けるようになってよー」 と言うと 「うん、大丈夫」 だって。本人にやる気があることが、ホッとさせる。良かった、よかった。



家に帰り、お母さんとお昼ごはん。東京に着いてからすぐに食べられるように、と五目御飯を炊いておにぎりにし、ゆで卵と一緒に持たせてくれた。
少し時間があったので、犬をゲージから出して遊んだ。だいぶ、触れるようになったよー。おいおい、昨夜は君がきっかけで大変なことになったんだぞ!と言ったところで、犬はキョトン。めんこい顔で、こっちをじーっと見ている。
次に帰ってくるときまで、忘れないでいてちょうだいね。また、最初の時みたいにブルブル震えてゲージに逃げちゃうかなぁ。


今日は駅まで送ってくれる運転手が誰もいないので、お母さんにタクシーを呼んでもらった。
「昨夜はお母さん、酔っ払っていろいろ言っちゃったみたいだけど、ごめんね。寝ぼけていたんだよ、たぶん」 だって。あれだけ酷いコトをたくさん言われたことはしっかり覚えているが、本人がそう言うんだったら、夢を見ていたんだろう・・・ふんっ、そんなことあるかいっ!
「おじいちゃんのこと、宜しく。お母さんも無理しないでね」 と言ってタクシーに乗った。で、途中で携帯電話を忘れたことを思い出し、家まで戻ってもらった。カッコ悪っ!私も寝ぼけているんだろうか。気分が晴れないことだけは確かだな。


東北本線を降りて新幹線ホームに立ったとき、ピアスを忘れてきたことに気付いた。あーぁ、余計なことばかり考えていると、こういうことになるんだよねぇ。お母さんにメールをして、後で送ってもらうことにした。またもやカッコ悪い。。。
帰りの新幹線の中では、昨夜、お母さんに言われたことを思い出していた。
私だって、会社にお願いして休みをもらって、仕事を前倒しして、期日のある仕事は周りの人にお願いして、帰省したのに。お兄ちゃんだって、月の中でいちばん忙しい週で、会議を他の人にお願いして、研修に来る人のことも他の先生にお願いして、時間を作って帰ってきたのに。チビたちだって新しい生活に慣れるのに必死なのに。お義姉さんだって、時間が不規則な勤務だけど、毎日チビのお弁当のために早起きをして頑張っているのに。
みんな、それぞれの環境の中で頑張っているし、おばあちゃんが病院通いで大変なのもちゃんと分かっているのに。誰も分かっていないワケないのに。


きっと、みんな言葉が足りないんだね。 「お茶碗、洗ってくれてありがとう」 とか 「お洗濯してくれて助かったよ」 とか、そんな小さなひと言があれば、お母さんも少し救われるんだろうな。いくら感謝をしていても、言葉にしないと伝わらない。
家族・・・有難くもあり、難しくもあり。