すのこ

出勤前、東京都議会議員選挙の投票のために、お向かいの中学校に行った。期日前投票をしようと思っていたのだが結局、当日に早起きすればいいや、ということで駅とは反対方向の中学校へ。



子供がいるわけではないので、小学校や中学校の校舎に入る機会は無い。お向かいの中学校も、外から眺めてることしかない。廊下に貼られた標語や部活のイラスト作品、入り口上に 「美術室」 と書かれたプレートなど、つい 「懐かしい雰囲気だなぁ」 と思いながら眺める。


帰り際、下駄箱を眺めながら、何かが足りないような気がしてならなかった。中学校を出て、駅に向かいながらそのことを考えていたところ、駅に着く直前に気付いた。
そうだ、すのこが無い!


私が通った小学校も中学校も、下駄箱の前にはすのこがあった。靴を脱いですのこに上がり、そこで上履きに履き替えたよね。掃除の時はすのこを下駄箱に立掛け、砂埃を立てながらホウキで掃いたよね。立掛けたすのこが重くて、元にもどすときにバーン!って大きな音を立てる失敗、よくやったよね。雑巾掛け直後のすのこは色が濃く湿っていて、それがすーっと乾いていく経過が面白くて、じーっと眺めたりしたよね。古いすのこは艶があって角が丸みを帯び、それがまたイイ味を出していて好きだったなぁ。
あの中学校のコたちは、どうやって上履きに履き替えるんだろう。選挙で外の人がたくさん来るから、すのこは片付けられていただけかもしれないな。


小さい頃に住んでいた家は、お風呂の洗い場にもすのこが置かれていた。木の湯船、裸にすのこ、肌への柔らかいあたりが大好きだった。そういう暮らしの形って、ほんの数十年であっという間に変わってしまうんだなぁ。
投票に行って、そんなことを考えましたとさ。