3+1=4人でおしゃべり


友人の浅草のお店で月に一度開催される、日本酒と美味しいお料理を楽しむ会の日。前回も参加した同僚ちゃん、初参加の同僚ちゃんとの3人で参加。仕事を定時で上がってダッシュしても30分の遅刻となるが、どうしても参加したかった。
予定通り遅刻して到着すると、以前もお会いしたことのある田舎が近い姉さまがお隣の席に。 「あれ?ご主人は?」 と聞くと、 「急な仕事で来れなくなったの。今日はヨロシクね」 とのこと。はい、喜んで!
本日の酒蔵は、岩手で最も古い酒蔵の菊の司酒造さん。社長の息子さん、若旦那が来てくださって、テンションが上がる、上がる。




若旦那に最初のお酒 「純米大吟醸 菊の司 斗瓶採り原酒」 を注いでもらい、ひと口。これが私たちの中で結果、大好評のお酒だった。もの凄く香りが立ち、日本酒でないみたいな飲み口。うーん、美味しい!
そしてその食前酒のあと、最初のお料理は、淡雪かん。
お酒の香りがいっぱいの口の中を落ち着かせるような、ふんわりした口当たり。最初のお酒に興奮していた気持ちが落ち着く。イイ組み合わせだ。



若旦那が次のお酒の準備をしている間に運ばれてきた、前菜四品。
左から、長芋のお豆腐 三つ葉のお浸しと鯛の卵醤油がけ、関アジと酢海苔、フルーツトマト、食用ほおずき。
鯛の卵も、酢海苔も、これだけ瓶詰めにして売って欲しい!と言いながらいただいたほど美味しかった!写真だと分かりづらいが、フルーツトマトの上に写っているのは桜の枝。つぼみが少し開きかけていて、とてもステキ。こういうところが和食の素晴らしさだね。
菊の司といえばコレ! 「大吟醸 てづくり七福神」 と、味に変化のある前菜の組み合わせもまた、イイ。




お酒は進み 「純米吟醸 菊の司」 へ。控えめでいて菊の模様が可愛らしいラベルが素敵だ。酸味と甘みのバランスが心地よい。ずっと飲み続けるなら、コレだなぁ。ぬる燗がおすすめとのことなので付けてもらったが、これが美味しさ倍増。うん、これはやっぱりぬる燗ねぇ。
お椀は、桜の花びらのお吸い物。春らしく華やかだね。岩手の根曲がり竹や、アマドコロが使われている。
季節感があふれるお料理とぬる燗で、心も体もぽかぽか。4人の会話も熱く盛り上がる。大丈夫か?




写真右に並ぶラベル 「平井六右衛門」 の2本。16代蔵元 (予定) の若旦那が作ったお酒で、説明も熱い!酸味が好みだというだけあり、すっきり爽やかでありながらガツンと来るお酒で、純米酒好きの私の本日一!に決定。火入れ前のそのままと、火入れ後と2種類を飲み比べ。私は火入れ前が好みだが、他の人は火入れ後が好きだとか。好みってホント、人それぞれだね。
お料理は焼き物、鰆の幽庵焼き うるいのサラダのせ。蕗醤油が添えてあり、これがまた香りがよくて、さっぱりした鰆によく合う。蕗醤油も、瓶詰めで売ってください!な逸品。



こちらのお料理、いちばん上は黒毛和牛のしゃぶしゃぶトウチソース。
下に隠れているのは、生麩や春キャベツなど、いろんな歯ごたえが楽しめる素材。驚いたのは、春キャベツの歯ごたえ。同僚ちゃんたちも驚いていたが、自分たちがいつも食べいてる春キャベツとは全く歯ごたえが違っていた。これが料理人の腕なんだね。


ここまで来ると、私たち3人と姉さまの会話も最高潮。
新しいもの・こと・人を知るってホント、面白いんだよね。お酒のちからも手伝って、エンジン掛かりっぱなしで止まることがないもの。



待ってました!のお蕎麦。思わず 「ひとり分だ…」 と呟いてしまった。女性は、デザートを目にすると、満腹だった胃袋がもぞもぞと動き、デザート用の隙間を作ってくれるという映像を、テレビ番組で見たことがある。本当に動くんだよねぇ、もぞもぞって。そんな風に、私の胃袋は、この店主の打った蕎麦を見ると動くんだ。もぞもぞって。もっと入るんだぞ!って。
お隣の姉さまが 「お腹いっぱいで半分しか食べられないわ。食べる?」 って言ってくれたので、ますます胃袋がもぞもぞ。 「いいんですか?」 と言いながら、有り難くいただいた。ふーっ、満腹。



とは言っても、蕎麦同様、デザートは別腹。またもや胃袋はもぞもぞと隙間を作り、デザートもウェルカム!
本日のデザートは、桜花ティラミス。


イチゴの風味の中に、桜の香りがするね。ふわふわの食感も、見た目の色合いも、添えられたお花も、全てが春らしい。花が咲いて、緑が芽吹いて、器の中が春いっぱいだ。お酒で赤く染まったお客さんたち顔が、さらに花開くように笑顔でいっぱいになる。お料理の力って、すごいなぁ。



今まで参加した中で、いちばん古い酒蔵さんのお酒を、いちばん若い若旦那からの説明でいただいた。
「子供の頃から、将来は家を継ぐんだって思ってました?」 と聞いたところ 「はい、この家に生まれたので、いずれは自分が酒を作ると思って育ちました」 とのこと。私の目を見て答える若旦那に、あの酸味の効いた、気持ちのいいほど真っ直ぐな味を思い出し、頼もしかった。そう、頼もしかった。自信に溢れているというか、迷いなくひとつの目指すところに向かって歩いている感じが会話のひとつひとつに表れていて。


とても爽やかな、イイ会だった。来年も、若旦那の酒を飲むぞ!