いま、生きている


『君の膵臓をたべたい』 を読んだ。読みやすい本で、あっという間に読み終えてしまった。
主人公の男の子も女の子も、どちらもイイなぁ。やっぱり、中学・高校の生徒時代はイイ。何もかもが、その世界の中で全力だ。
自分の体の悪い部分を食べると、病気が治るという。胃が悪ければ、胃を。肝臓が悪ければ、レバーを。すい臓が悪ければ…。女の子は死んでしまう。切なくて、泣いた。


数日前、中学・高校と同じ学校の同級生だった女の子が、ガンで余命宣告を受けていることを知った。
その写真は突然、FBにアップされた。帽子を被り、すっぴん笑顔の自撮り写真。余命数ヶ月と言われながら治療を続け2年以上、今も頑張っている、と。
その後、同級生が書き綴っているブログが分かったので、遡って読ませてもらった。過去のガン、10年も経ってから別の臓器で見付かったガン。しかも、進行の早いガン。
いつも元気で笑っていて、男の子からも女の子からも人気のあったその同級生が 「もう弱音を吐いてもいいよね」 と綴る日記は、落ち込んだり、頑張ろう!と自分を励ましたり、副作用との戦いに負けそうになったり、涙と流したり…心と体の動きが文字になっていて、本当に辛い。


私が大好きで、当たり前のように観ている、朝の連続ドラマ。同級生は、大嫌いだったという。 「どうせ、最終回は観られないだろうから」 
そんな風に考えたことなど、私は一度も無い。この本の女の子も余命宣告を受けていて、同じようなことを語っていた。女の子の方は、桜の花だったかな。来年の桜。
当たり前のように連ドラを観て、当たり前のように数ヶ月先のイベントのチケットを購入して、当たり前のように夏休みや年末年始の旅行を計画して、当たり前のように、そう、当たり前のように。先の出来事に対して、何の不安もなく想像できる贅沢。そんな贅沢で幸せな中に自分が居るということを、改めて知った。


明日の誕生日、いつもと違った気持ちで迎える誕生日。誕生日を迎えられる幸せ。