京都シルバーウィーク旅行 2日目 嵐山散策

昨日の疲れでさっさと寝てしまった私。今朝はスッキリと目覚め、シャワーを浴びて更にスッキリ!遅くまで起きていた鉄子ちゃんも起き、ふたりで本日の出動準備。

先ずは腹ごしらえから、ということで、近くのイノダコーヒ本店のモーニングへ向かった。
いつもは平日旅行のためモーニングも空いているが、今日はシルバーウィーク最終日。何とお店の外まで行列がっ!回転が早いので、そのまま待つことにした。常連さんには大きな丸テーブル席が確保されており、行列をするりと通り越し、次々と店内に入っていく。さすが観光地、そしてさすが京都。常連さん対策はしっかりしている。
中庭の見える席が空くまで待つのは大変そうだったので入り口近くの席でOKし、モーニングを頂く。写真は去年のこちらから。


食事を終えて、まったりとコーヒーを頂いている時、鉄子ちゃんが言った。「さすがはイノダコーヒ、細かいところまで凝ってますねぇ」 。「可愛いポットマークのこと?」 と聞いたところ 「そう、ナイフやフォークにも入ってるんですね」 。
本当だ!モーニング用のナイフやフォーク、コーヒースプーンにまでポットマークが型押しされている!今まで何度か寄らせてもらっているが、これには気付かなかった。すごいなぁ、さすが!
オンラインストアで見たところ、重厚でカッコいい灰皿も、底面にはポットマークが付いているらしい。


イノダコーヒでのんびりしながら、今日の細かい予定を組む。
最初の目的地に行くまでには少し時間が早かったので、途中の六角堂に寄りながら、地下鉄の烏丸駅までのんびり歩くことにした。
その途中にあった自転車屋さん。
うわぁ、ウィンドウ上の軒に古い自転車が載っている!大丈夫なのか?赤い看板 「二輪専門店」 描かれたイラストもレトロで良い。
「中の自転車も古かったりしてね」 と笑いながらウィンドウを覗いてみると・・・自転車は新しかった。当たり前だ!


朝の六角堂は、今日も静かだった。
先ずお参りを済ませ、境内を一周。池の白鳥は静かに体を浮かせており、暫くその姿を見ながらボーっとした。
「和顔愛語」の教えは去年、こちらを訪れた時に知った有難い教え。いつもにこにこ笑顔でいれば、必ず良い報いがあるという教えだが、実践することはなかなか難しい。
時々こうして訪れ、その教えを改めて考え直すことも必要だなぁ。


「これが原種の藤袴です」。
今回の旅行中、京都の街のあちこちで何度も見かけた藤袴とメッセージ看板。六角堂の境内でも、綺麗に咲いていた。
看板によると、藤袴万葉集にも詠まれた秋の七草の一種。環境の変化で自生していた藤袴は姿を消し、今では絶滅が危惧されている。京都では2008年の源氏物語千年紀をきっかけに、原種の藤袴を守り育てる呼びかけがされているそうだ。
便利な世の中になっていく一方で、こうして古い植物たちが消えかけている。


目的地に向かうため、四条大宮駅から嵐電に乗ることにした。
嵐電」の筆書き達筆風のロゴに 「何だか強そうなロゴだねぇ」 と鉄子ちゃん。地下鉄しか乗っていなかったので、違う電車に乗るのが楽しみ!
「Randen」の横文字ロゴに 「ねぇ、ガス器具のRinnaiのフォントに似てない?」 と私。もうRandenがRinnaiにしか見えなくなった。漢字ロゴと横文字ロゴのあまりの違いにウケまくる。
改札を入ってお会いした車両正面には 「化け電」 のヘッドマーク。何だ?


車両の脇腹を見て納得。
化け電のボディーには、ゲゲゲの鬼太郎のキャラクターが大きく描かれていた。妖怪だから 「化け電」 ね。
社内の中吊りやドア上には、子供たちが描いた妖怪の絵がたくさん飾られていて楽しかった。
東映太秦映画村ヘッドマークを付けた車両にもすれ違った。面白いなぁ、嵐電
目的地は 「帷子ノ辻」駅。

中華料理 『菜館Wong』 。事前にネットで調べたところ、どこのページにも 「駅からすぐ」 としか書いていなかったので余裕だと思っていたが、着いたところ出口はふたつ。結局、10分ほどウロウロ探し、脇道を入ったところで発見。

自家製ラー油が美味しいと芸能人が言っている有名なお店だそうだ。鉄子ちゃんが知り合いに買ってきて欲しいと頼まれたということで買いに来たのだ。自家製ラー油は食事をしないと買えないというので、さっき遅めのモーニングをしたばかりだが、早めのランチを頂くことにした。
ランチのお料理は普通の味だったが、自家製ラー油は本当に美味しかった!独特の香りがあり、スープに入れても醤油と一緒にご飯に掛けても美味しい。
帰りにはもちろん、ラー油を買って帰った。私たちの前の地元の人はたくさん買っていたが、観光客には本数制限があるらしく、希望の本数は買えずガッカリ。。。

気を取り直し、満腹の私たちは再び嵐電で 「嵐山」 駅へ。駅の中に嵐電オリジナルのプリクラがあったので、嵐電車両を背景に選び、鉄子ちゃんとパチリ。もちろんポーズは敬礼で。うー、どんどん鉄子ちゃんワールドにハメられて行くぅー!


2食たて続けに頂いた満腹のお腹をこなそうと早速、散策へ出発!お天気が良くて、気持ちが良い。どこもかしこも金木犀の香りでいっぱいだ。
最初に向かったのは清涼寺。
駅から直線コースで向かったので、かなり遠く感じた。真っ直ぐ真っ直ぐ歩いていくと、正面に大きく立派な仁王門が見えてくる。
近付いてみると、その大きさに驚かされる。鉄子ちゃんは仁王様の足に釘付けだ。


清涼寺本堂は1701年に再建されたそうで、その細工の細かさに、首が痛くなるまで見上げた。
東京に帰ってきてから調べたところ、その歴史や見所などがたくさんあるようで、事前によく調べていかなかったことを後悔。


清涼寺を出て、ゆるい上り坂をのんびり歩く。この辺りも金木犀の香りでいっぱいだ。
暑くてもう無理!と思った頃、祇王寺への道案内を見つけた。
後ろには大きな大きな金木犀
酔いそうなほど、強い香りだ。


ゆるい坂を上り切り、竹やぶが途切れた辺りに、趣のある門が見えた。
入苑料を払って中へ入ると、陽射しを遮るように緑に覆われた苔庭が広がっていた。涼しくて、少し空気が湿っているように思える。


苔庭をぐるりと囲むように散策路を周り、祇王寺の手前に来たところに、庭の苔を紹介した鉢がならんでいた。木札には 「祇王寺の苔いろいろ」 の文字。
同じように見える苔でも種類がたくさんあり、近付いてみると形も様々で面白い。


祇王寺の吉野窓の前には座卓があり、ちょうど白い猫がその上に乗って吉野窓から外を眺めていた。
素敵な画だ。
最初に見たときは、じーっと動かなかったので置物かと思った。暫く外を眺め、吉野窓の外側から猫に気付いた観光客が窓に近付いたとたん、どこかへ逃げていった。


祇王寺を出て、更に坂を上り、仏野(あだしの)念仏寺へ。
祇王寺もそうだったが、紅葉が有名な地だけに、どこのお寺も紅葉の木でいっぱいだった。時期が早いのでまだ青々としていたが、これが全て真っ赤に色付いたら、本当にきれいだろうなぁ。


境内にまつられた八千体以上の石仏・石塔は、あだし野一帯に葬られた人々のお墓だそうだ。永い年月を経て無縁仏と化してあだし野に散乱埋没していた石仏を明治中期に集めて祀ったそうだ。
化野の 「あだし」 とは、はかない、むなしいとの意味があるそうで、この世に再び生まれ化る事や、極楽浄土に往生する願いなどを意図している。
この石仏が並ぶ風景には独特の空気があり、静かに何かに語りかけられているような気がしてならなかった。


化野念仏寺までの上り坂はキツかったが、ここからは下り坂。
ゆっくりと坂を降り、先ほどの祇王寺前を通り過ぎ、二尊院へ。二尊院へ曲がる道の脇に 「小倉餡発祥之地」 である案内があり、鉄子ちゃんは大興奮!
百人一首の解説本が愛読書の私は、前回行けなかった小倉百人一首の殿堂 「時雨殿」 に行きたくて時間を気にして休憩もせずにここまで歩いたが、この辺りで時間的に無理だと諦める。残念!
お寺の拝観時間のエンドも近付いてきているため、急いで総門から境内へ。


この左右の緑は紅葉。ここも秋に訪ねたら見事だろう。
二尊院に祀られているのは釈迦如来阿弥陀如来。釈迦如来は、人が誕生したときに送り出してくださる発遣の釈迦、阿弥陀如来
人が寿命をまっとうした時に極楽浄土よりお迎えくださる来迎の阿弥陀だそうだ。
本堂では二尊に手を合わせ、重要文化財である 「法然上人足曳きの御影」 を観ることができた。靴を脱いで上がった本堂の廊下は鶯(うぐいす)張りになっており、歩くたびにキュッキュッと鳴いていた。鉄子ちゃんも私も、とても心静かに過ごした、とても良い時間だった。


小倉餡発祥之地の石碑。裏にはその由来が彫られていた。
日本で始めて小豆と砂糖で餡が炊かれたのは平安京ができて間もなくの820年のこと。当時、小倉の里に亀の子せんべいを作っている菓子職人がいて、中国から持ち帰られた小豆の種を栽培し、それで餡を作り、毎年御所に献上したそうだ。
その後、この菓子職人の努力で小豆栽培が洛西に広がり、江戸時代には茶道の菓子に用いられるようになり、ハレの料理にくわえられるようになった。
和菓子が大好きな私たち。次に餡を口にするときはきっと、この由来を思い出すだろう。


二尊院を後にし、竹林を通って帰ろうと向かっていたところ、ちょうど落柿舎の近くだっただろうか、道の脇に変わった花を見つけた。
まるで生きているかのように長く伸びた花たち。
股関節が痛くて歩くのが辛くなっていた私と、思いリュックサックが肩にくい込んで腫れ上がっている鉄子ちゃんを励ましてくれているよう。


一日中、金木犀の香りを浴びながら歩いた私たちだったが、たくさんの青い紅葉を見て、「秋だったらもっとすごかったんだろうね」 と何度言ったことか。
そんな私たちの目の前に、少しだけ赤みをおびている木々が現れた。常寂光寺から小倉池に向かっている辺りだっただろうか。
「ちょっとだけ紅葉を楽しんだ風の写真を撮ろうよ」 とそれぞれのカメラで写し、どちらがより秋っぽいかを比べて楽しんだ。
紅葉の時期は、もっともっと人出がすごいんだろうねぇ、などと話しながら。
小倉池脇の歩道では、道端の草花を楽しみながら歩いた。緑をみているうち、小さい頃に植物を使って遊んだことを思い出し、手に葉っぱをはめてポンッ!と大きな音をたてて飛ばす遊びや、葉っぱを取って枝だけにし、その枝を口にくわえて反対端を瞼の上に刺してヘンな顔を作る遊びなど、大人とは思えないような遊びをしながら道草をくい、ギャハハハとお腹が痛くなるほど笑った。
子供に返ったおバカな私たち。


少し元気を取り戻した私たちは、大河内山荘の前から竹林に入った。
人の何倍もの高さに伸びた竹林。真っ直ぐに伸びるその姿は、堂々としていて気持ちが良い。
日々、迷ってばかりでクネクネと曲がりまくっている私とは全く逆の、迷いのない真っ直ぐな姿に、教えられることばかりのような気がして、何となく自分が恥ずかしくなる。
いつもそういう気持ちにさせられる、私にとっての改心の道だ。
竹林の入り口では反省し、ゆっくりと歩きながら考え、出口に来ると心が清々しくなる。
私たちは自然と、別々に竹林を歩いていた。
鉄子ちゃんが何を考えていたのかは分からないが、私以上に時間をかけて歩いていたように思う。
「何を考えてたの」 なんてコトは聞こうとも思わなかったし、聞く必要もないのだ。


ここまで来て、股関節痛が限界の私と腫れ上がった肩が限界の鉄子ちゃん。とにかくどこかで休もう、ということで、茶房こげつに入った。
実は今朝、イノダコーヒ本店から烏丸駅に向かって歩いていた時に烏丸店を見付け、時間があったら入りたいよー!と鉄子ちゃんに話していた。
渡月橋に向かっていたところ偶然、鉄子ちゃんが嵐山店を見付け、「鼓月が呼んでますよー!入りましょう!」 と言ってくれた。足を引きずる私を心配してのことだろう。アリガト!


鉄子ちゃんはくずきり善哉、私は栗善哉をオーダー。
小豆を見ながらまた、二尊院の小倉餡話。いつも頂く小豆とは、ひと味もふた味も違った優しい善哉だった。
今日撮ったたくさんの写真を見せ合い、小倉池のほとりで葉っぱ遊びをしたことを思い出してまた笑い、すっかり疲れた体がほぐれた。
外に出ると、もう日が傾きかけていた。


嵐山に来て何時間も経つのに、肝心の渡月橋を見ていない。
もう、写真を撮るには厳しい時間だね、と言いながら渡月橋へ。
桂川のほとりから暫し渡月橋を眺め、長かった一日を振り返る。
次は紅葉真っ盛りの時期に来たいなぁ、嵐山。

帰りは嵐電ではなくJRに乗りたかったので、ここからまた駅まで歩くことに。頑張れ、頑張れ!もうすぐだ!と自分に言い聞かせても、また足の痛みが復活してくる。

駅までの道は暗く、完全に夜になっていた。歩きながら鉄子ちゃんが言った。「行きたいって言ってた座布団のお店のところ、通るんじゃないですか」。
JRの嵯峨嵐山駅から少し歩いたところに、座布団のお店 「Platz(プラッツ)」 がある。前回、買ったクッションがとても使いやすく気に入っていたのでまた行きたい、と前に鉄子ちゃんに話していたことを覚えていてくれたらしい。
「もう真っ暗だし連休最終日だから、もう閉まってるよ」 と私。そうは言ったものの気になり、Platzの通りに出たところで念のためにお店を覗いてみた。開いてる!!


前回買ったクッションとお揃いの生地のものが欲しくて、店内をウロウロ。座布団の半分ぐらいの枕があったので、お買い上げ!
ちょっとお昼寝、というときに役立ちそうだ。いまこれを書いている時にも、座布団代わりに使っており、重宝している。
少し小さめの色違いもお土産用に購入。
いやぁ、今日は買えないと諦めていただけに、本当に手に入れられたことが嬉しい。
鉄子ちゃんのひと声がなかったら、お店に寄ろうとも思わなかっただろうな。ホント、鉄子ちゃんGood job!


とりあえずラー油の瓶や枕や他の荷物たちを下ろしたい!ということで、JRと地下鉄を使って一旦、ホテルに戻った。
あー、やっと荷物からの解放だぁ!とベッドに倒れこむ私たち。今日一日、よく歩いたぁ!
今日買ったお土産を並べてみる。
この小さな2本のラー油が結構、重かった。もっと本数を背負っていた鉄子ちゃんは、本当に大変だったと思う。真ん中の赤いお人形は二尊院で買ったもの。優しいお顔にひと目惚れ。

しばらくダラダラしていたが、このままだとご飯も食べずに寝てしまいそうだね、ということで起き上がる。もうあまり歩きたくないね、と言いながら、夕食を考える。
今日は私のリクエストでお店を決めた。電話をしたところ、席は空いているとのこと。さぁ、行くか!

一昨年、昨年と京都に来た時にお世話になった柳馬場三条のお店。
実は夕べも寄ったのだが、日本酒半額デーだったためか、シルバーウィークだったためか、満席で断られてしまったのだ。
今日は空いていて、広いテーブルを案内してもらった。ラッキー!
昨年お邪魔した時、帰りにポラロイドのことで呼び止めてくれた店長さんは、別の人に変わっていた。
でも、丁寧な接客と、美味しいお料理は変わっていない。


京都に来る前、「鴨川納涼床でハモとか食べてみたいですぅ」 と言っていた鉄子ちゃん。「夏は終わっているから、もうやってないんじゃない?」 と私。
お店のメニューをみたところ、まだハモに間に合ったようで、いろんなメニューがあった。その中から、ハモの天ぷらをオーダー。
厚い身のふっくら感が最高で、ふたりとも大満足!お腹に余裕があったら、もう一皿オーダーしよう!というほど気に入った。
結局、夕べのポテトサラダのようにふた皿目には行かなかったが、とにかく美味しかった!


いつもオーダーする、おばんざいの盛り合わせ。
お野菜もお魚もそれぞれ違う調理法、味付けがされており、楽しめる。定番の茄子、やっぱり美味しいなぁ。
それぞれ単品でもメニューに載っており、気に入ったものは単品でもオーダーできるのが嬉しい。
この他にも野菜とお揚げさんのたいたんや、優しい味のうどんなど、またまたたくさん食べて飲んだ。
写真がないのは・・・撮るよりも、話と食べるのと飲むのに夢中だったから。。。

今回も、ポラロイド写真にお礼を書いてテーブルに置いてきた。昨年のように、見付かって呼び止められると恥ずかしいので、鉄子ちゃんとふたりで逃げるようにお店を飛び出した。
ポラロイド社のフィルム製造が終了してしまったため、来年はもう、ポラを置いてくることはできないだろう。
何となく寂しい気持ちで、お店をあとにした。
明日は京都、最終日だぁ!


イノダコーヒ   モーニングにも、歩きつかれた時のひと休みにも   
六角堂   創建は聖徳太子だそうです
五台山 清涼寺   
祇王寺
化野念仏寺
二尊院
茶房こげつ   嵐山店の他にも祇園店や烏丸店もあります
京座布団Platz(プラッツ)   座布団だけでなくクッションや枕、小物などもたくさん
麺どころ 晃庵   お料理は何を食べても美味しいです