京都シルバーウィーク旅行 3日目 体験工房と神だのみ

いよいよ旅行最終日。さっさと寝てしまった私は鉄子ちゃんより早起きし、シャワー。その後、鉄子ちゃんも起き、重い荷物を送ってしまおうと、ふたりで荷造り。ガラガラ(キャリーバッグ)にパンパンに荷物を詰め込んでヘロヘロになったところでお腹が空いた。
朝ごはん、どうしようねぇ、とふたりで考えていた時、ふと思い出した。前回の旅行で偶然、見つけた美味しいパン屋さんのことを。元パン職人の鉄子ちゃんに提案したところ、快くOKをもらう。

パン屋さんまではホテルから5分もかからない。
滞在中、何度も歩いた通りなので今日は少し遠回りしていこう、ということで、必要の無い曲がり角をくねくね回り、少し遠回り。
とある施設の庭に、ムラサキシキブ紫式部)を見つけた。大きな株で色が濃く、とてもキレイだった。


その同じ庭に咲いていた、こちらの花。花?なのか?
名前は分からないが、これも色が濃く鮮やかで、本当にキレイだった。何ていう名前なんだろう。
コップを洗うブラシみたいな形が面白い。
あまりに見とれていたので、車にクラクションを鳴らされてしまった。


辿りついたパン屋さんは、FLEUR DE FARINE(フルール・ド・ファリーヌ)。小さなパン屋さんで、人が3〜4人入るともう、身動きが取れなくなる。
私たちが着いた時はたまたま他のお客さんが居なかったので、ゆっくりと選ぶことができた。私がお気に入りのミルクフランス(正式名称不明)は2個しか残っておらず、私が買ったあと、次に来た男性がいちばんに選んだので完売。やっぱり人気パンのようだ。
元パン職人の鉄子ちゃんは、狭い店内にぎっしり並んだパンを端から端まで品定め。良心価格に驚いていた。
お互いに食べたいパンを選び、ホテルに戻った。


デニッシュが美味しいんだよ、と言いつつ、デニッシュをひとつも買わなかった私たち。
今回買ったパンも、どれも美味しかったなぁ。写真下真ん中がミルククリームの入ったおススメパン。右上のクリームパンのカスタードクリームも美味しかったなぁ。次回はこれもマストだ!
左下の焼きカレーパンは、中のカレーにこだわりが感じられる職人パンだった。その上の、フィグ(いちじく)の入ったパンを選んだ鉄子ちゃん。その大きさに、東京まで持ち帰るのかなぁ、と思っていたが、ペロリとたいらげてしまった。フィグ好きの私も少し美味しさをおすそ分けしてもらった。

お腹を満たし、元気が出たので荷造り再開。フロントでガラガラの発送手続きをし、チェックアウトをして、今日のメインイベントへ先へ向かう。

今回の旅行で唯一、予約をしていた場所 「蒔絵 梅仙」 。
お箸に色漆で文様を描き、それを持ち帰ることができる。前回の旅行では京友禅の工房で風呂敷に描いて楽しかったので、今回も何か体験をしたく、今回は漆に挑戦。
とても天気が良くて暑く、二条前駅から歩いて工房に着いた時には、もう汗だくだった。
笑顔の素敵な工房のお姉さんに迎えられ、ホッとする私たち。


まず、お姉さんに割ぽう着を渡される。漆を扱うので、洋服や肌に付かないように気を付けないといけないそうだ。
割ぽう着を身に着けると、やるぞー!という気合が入る。
木目の分かる茶色いお箸と黒塗りのお箸の、どちらかを選ぶ。鉄子ちゃんも私も、文様が映えそうな黒を選んだ。
端の上の方に輪ゴムが巻かれているのは、描いた文様がテーブルに付かないよう、少し浮かせるため。


お箸の先にセットした四角い枠は、描いた文様がテーブルに付かないようにするためと、お箸がコロコロ回転しないように、そしてテーブルと平行になって描き易いため。
テーブル脇に刺さっている5本の黒い棒は、漆を塗る筆。5色を使うので、筆も色毎に5本用意されている。私たちの間に並べられた5枚のガラスプレートには、5色の色漆。工房のお姉さんに 「間違って漆が手に付いた時には、すぐに拭き取らないとかぶれる人がいるので、声を掛けてくださいね」 と言われ、ちょっとビビる。
何本かの見本を見ながら、自分の描きたい文様をイメージする。


色を混ぜた漆はノリが悪く弾かれてしまうものもあり、文様を描くのに苦労する。何度か重ね塗りをしたり、漆の量を調節したり、とにかく 「あー」 とか 「うー・・・」 とか言いながら、ふたりで格闘。これがまた楽しい。
「私、天才かもしれない」 と言いながら、夢中で描き続ける。漆と格闘すること約1時間。
私が描いたのは、丸だけを使った文様。予想外のポップな仕上がりに、ちょっと納得がいかなかったが、これはこれで可愛らしくていいかな。


こちらは、絵を描いた鉄子ちゃんのお箸。お月様とウサギ、もうひとつがお月様とカメ。ウサギとカメの昔話のように、ウサギの方が、カメより月に近付いているそうだ。
ウサギもカメも、細い筆で細かく描かれていて上手!
鉄子ちゃんは、何度も漆を手に付けてしまい、「お姉さーん!またやっちゃいましたぁ!」 と謝っていた。
出来上がりを見て、そのお姉さんも 「可愛いですね」 とニコニコ。


こちらは、鉄子ちゃんのウサギとカメの反対側。茶碗に盛られたご飯だ。「NO RICE」 「NO LIFE」 の文字を書いたのにはワケがある。
旅行初日に行った京都音楽博覧会でのこと。私たちの隣のシートに居た幼稚園児ぐらいの子が、「NO RICE , NO LIFE」 と胸に、そして背中には「米」と書かれたTシャツを着ていたのだ。この子とTシャツが可愛くて、私たちは釘付けになった。
それを思い出して、「やっぱ、ご飯の絵にはNO RICE , NO LIFEでしょ」 と話し、この形に。いやぁ、可愛い。
お姉さんにお茶を頂き、お箸を受け取ってお礼を言い、工房を後にした。大満足!

行きたいところはいっぱい、時間は残り少ない。堀川のほとりに座り、この後の予定を立てる。一保堂で寛ぐと時間が足りない、ということで、鉄子ちゃんリクエストの足腰にご利益があるという 「護王神社」 へ向かうことにした。電車で行くと効率が悪いので、歩いていくことに。



ここに辿り着くまでが大変だった!
元気な時なら何ともない距離なのだが、歩きっぱなしの旅行最終日、しかも夏のような暑さということで、痛めている私の足は限界に近付いていた。ロキソニンを飲んでも効かず、重い荷物もあり、もうダメー!という状態。
話しかけてくる鉄子ちゃんの言葉にも、返答するパワーがない。
足腰のご利益を求めて神社に向かっているのに、その足腰が限界になっている。
この入り口に着いた時には、「あー、これで座れる」 と思った。
護王神社は 「いのしし神社」 神社とも呼ばれているそうで、狛犬ならぬ狛猪(イノシシ)がお迎えしてくれる。


なぜイノシシかというと・・・(護王神社サイトより)

御祭神和気清麻呂公は、道鏡事件で大隅国へ流される時、足萎えで立つこともできなかったが、イノシシの御守護により、不思議と立って歩けるようになったという故事に因み、足腰の守護神と仰がれています。


ということだそうだ。
私の足腰も、これで快復するだろうか。


境内に足を踏み入れ、先ずお参りをということで、手を清めようとすると、そこにもイノシシが。
イノシシの口から、お水が出ている。
このイノシシの鼻を撫でると、ご利益があるそうだ。
もちろん、何度も撫で撫で。


これは、願かけイノシシと、たくさんの願かけの串。
四手とイノシシの折り紙のついた竹串で、名前と願い事を書いた紙札をはさんで願かけ猪の前に刺し、願かけをする。
亥串は2本組になっていて、1本はこの木の根元に立て、もう1本は家に持ち帰って神棚や玄関におまつりする。それにより、家と神社が繋がり、願いが叶うという。


しばらく境内を散策したあと、休み処でゆっくり休むことにした。やっと、やっと座れるー!
休み処の柱の下にも、こんなイノシシが。
とにかくどこもかしこも、イノシシだらけだ。休み処にはガラスのショーケースがあり、その中には全国から納められたイノシシグッズがぎっしり並んでいた。


やっと座ると、痛めた足がジンジンした。まるで、心臓が足に移ったみたいだ。
汗をたくさんかいたので、喉はカラカラ。体はヘロヘロ。
エネルギー補給のため、冷やしあめをお願いした。
何度か京都に来ているが、いつも飲めずにいた冷やしあめ。甘くて、生姜が効いていて、疲れを癒すのにはピッタリ!
しかし、アルコールが入っていないのに、チェイサーが必要な飲み物は初めてだ。


これは、お守りの隣で売っていたイノシシ。
その、きれいに並んだ姿が可愛らしくて、思わず撮った写真。


休み処の軒下には、大小様々な瓢箪(ひょうたん)が吊るされていた。
風が吹くと、ゆらーっと揺れ、のんびり感が増す。穏やかで良い時間だった。


たくさんのイノシシが並ぶショーケースの上には何と、イノシシの剥製が並んでいる。
これがまた、すごく大きくてびっくり!凄い迫力だ。
頭だけでもこれだけの大きさなのだから、体はどれほど大きいのだろう。

しばらく休憩させてもらうと、ジンジンしていた足の付け根が大分、楽になってきた。あー、鉄子ちゃんがここを行きたい場所としてリクエストしてくれて良かったぁ。
鉄子ちゃん自身は、足にも腰にも悪いところは無いはずだ。きっと、会社でいつもヘルニアの腰痛や左の股関節の痛みに困っている私のために、「護王神社に行ってみたい」 と言ってくれたのだと思う。
休み処で、扇風機のぬるい風を受けながら、鉄子ちゃんの静かな優しさに心から感謝した。
ふたりでお守りや、かりん飴を買って、護王神社を後にした。


とりあえず地下鉄で京都駅へ行きお土産を買うことにした。京都駅に着いたが、まだ少し時間がある。
東京に居る時、鉄子ちゃんが京都タワーに行ったことが無い、と言っていたことを思い出し、タワーに行こうと誘った。私の足を心配してか、鉄子ちゃんは遠慮した。大好きなたわわちゃんグッズも買いたいし、と強引に誘い、京都タワーへ。



秋の雲と、青空に映える京都タワー
今日もその姿は愛らしい。


たわわちゃんグッズを買うために行ったのだが、まだ時間があったのでタワーに上ることにした。
チケットを2枚買うと、昼間の京都タワーと夕方の京都タワーの2種類の写真だった。
いままで気付かなかったなぁ。


京都タワーは外から見るとそれほど高く見えないのだが、実際に上ってみると、やはり高い!
観光名所がたくさんある京都で、この眺望は素晴らしい。あらゆる名所を見ることができるからだ。
しかも望遠鏡が無料なのだ。これは本当に有難い。
清水の舞台も、くっきり見える。
この写真のように、手前はビルだらけだが、真ん中辺りには大きなお寺の屋根が見える。新旧混合の独特の風景。それが京都。


京都タワーを出て、駅へ。駅のミラー張りの建物に映る京都タワーが、最後のお見送りをしてくれた。
タワーが映る、この画が大好きだ。
夜バージョンも素敵なんだよなぁ。


旅行の終わり。
最後はお土産を買うために、京都伊勢丹と駅ビルへ。
集合時間と場所を決め、それぞれ出動!
私が買うものはいつも決まっているので、サクサクと買い物を済ませる。
待ち合わせ場所に着いた時には、ふたりともまた、大荷物になっていた。


帰りの私のお弁当 「近江牛巻き寿司」 。
京都に居る間は、湯葉や豆腐やお魚など薄味であっさりしたものばかり食べていたので、ガッツリした味が恋しくなっていた。
とはいえ、京都駅で買ったお弁当。
味付けはあっさり気味だったが、お肉が柔らかくて美味しかったぁ。
これに、友達のまりちゃんに教えてもらった中村藤吉本店の緑茶ゼリーも頂き、お腹いっぱい。


こちらは鉄子ちゃんのお弁当。あくまで京都道を貫く鉄子ちゃん。箱も中身も色鮮やかで、これぞ京都!という感じのお弁当。結構な量があり、お腹パンパンだ!と言っていた。
ふたりともお腹いっぱいになり、新幹線では寝てしまった。先に寝たのはたぶん私。鉄子ちゃんが起きている間は私が寝て、私がおきている間は鉄子ちゃんが寝て、という感じ。まるでひとり旅行だ。
「さようならー」 と言って私が先に品川で降りた。鉄子ちゃんは東京駅まで。明日は私は出勤、鉄子ちゃんはお休み。私の介護で疲れただろうから、ゆっくり休んでね、鉄子ちゃん。アリガト!


今回も楽しかったなぁ、京都。
部屋でお土産を広げ、コーヒーを飲みながら色々と楽しかったことを思い出す、この時間が好きだ。
足腰の痛みが出て鉄子ちゃんに迷惑をかけてしまったなぁ。重い荷物を持ってもらったり、護王神社に連れて行ってもらったり、もう一緒に行くのは懲り懲りだろうなぁ。
次回からはひとりで行った方が他人に迷惑を掛けないで済むかなぁ。でも、夜ご飯は誰かと楽しく食べたいなぁ。
ま、次は次で、その時に考えよう!とにかく楽しかった三日間。来年の音博も楽しみだ!


FLEUR DE FARINE(フルール・ド・ファリーヌ)    おススメはデニッシュ系とミルククリームの入ったフランスパンです

蒔絵 梅仙   お箸だけでなく、お椀にも絵が描けます

京都伝統工芸体験工房   京都で体験できる様々な工房が検索できます

護王神社   イノシシ神社なので、特に亥年生まれの方にはご利益があるそうです