夏休み2日目 : 田舎でのお墓参り

夏休み2日目。いやぁ、ゆうべは暑かった!東京で冷房を点けたまま寝る生活に慣れているため、エアコン無しの夜は本当に厳しかった。扇風機を独占させてもらい、点けっぱなしで寝たのだが、それでも暑いモンは暑い。しかも、お母さんが 「点けっぱなしは体に悪い」 と、時々起きてきては勝手に電源を切るから、それでまた目が覚める。うーっ、点けっぱなしでも大丈夫だから、とにかく寝かせてくれぇい!


そんなこんなで汗だくの朝。今日は、車で山道を片道2時間半かけて、お母さんの実家にお墓参りに行くことにしていた。いまのうちの家は10年ほど前に今の場所に引っ越しているため、今日の行き先であるおばあちゃんちがある町が、私が生まれ育った場所だ。懐かしいねぇ。
寝坊した私のせいで、出発が予定より少し遅れた。途中まではお父さんが運転。お父さんは脳梗塞で倒れてから体の左半分が不自由だが、体の右半分だけを使って車の運転をする。私は助手席に乗ったのだが、車間は近いし、右折左折は鼻っぱしが出すぎるし、カーブなのに追い越しをかけようとするし、年をとったせいか以前より運転が怖くなっている。何度、助手席でブレーキを踏む動きをしたことか。教習所の車みたいに、助手席にもブレーキがあればいいのに。
怖いドライブに耐え、やっといつもトイレ休憩を取る、山の中にある道の駅に到着。あー、ずっと緊張しっぱなしで、体がコチコチだわぁ。


お父さんは、牛歩でトイレに向かった。お母さんと私は道の駅にある産直館に、お墓参りのお花を買いに。産直館には、地元の人が育てた野菜やお花がたくさん並んでいた。しかも、どれも安い!

お墓用と仏壇用を選び、お会計をしている時に、この素敵なおやつの列を発見!
向かって右2列が 「がんづき」 、隣2列が 「大福」 、真ん中の黒っぽい2列は 「きりせんしょ」 、その左隣2列が 「ひゅうず」 、更に左隣は 「まんじゅう」 、いちばん左が 「そば粉まんじゅう」 。郷土菓子が整列している姿に 「お母さーん、これ買ってぇ」 とお願い。米粉と小麦粉を混ぜた分厚い皮で黒砂糖・味噌・くるみ・ゴマなどを包んで蒸した 「ひゅうず」 か、もち粉とうるち粉の生地に黒砂糖・醤油・砂糖・ゴマなどを混ぜてクルミを載せて蒸した 「きりせんしょ」 が、私が大好きな郷土菓子。今日は迷いに迷って、きりせんしょを選んだ。

運転が好きなお父さんの機嫌を損ねないよう、 「もう半分来たから、そろそろ運転代わるよ」 と言ってハンドルを取り上げた。ふーっ、自分で運転したほうが、かなり楽だわ。。。右手にハンドル、左手にきりせんしょ。あー、幸せぇ!


何とか、お昼少し前に実家の町に到着。海辺の町なのに暑い!何で?いつも夏は寒いぐらいに涼しいところだよね?今年の夏の暑さは異常だということを改めて実感。私たちは、そのままお墓に直行した。

山の斜面にあるお墓に行くためには、結構な段数の階段を上らなければならないため、お父さんは車の中から手を合わせて待っていることにした。
お花を供え、お菓子を供え、お水をかけて準備OK。お墓にはお母さんの両親と弟、つまり私のおじいちゃん・おばあちゃん・おじちゃんが居る。おじちゃんは、ときどき私の日記に出てくる、東京に嫁に行った仲良しの従妹のお父さんだ。私が大好きなおじちゃん。何年かぶりにお墓参りが出来たお母さんは、今までいろいろあって来られなかったことをお墓に向かって謝り、泣いていた。お線香をあげたあと、しばらくお墓の前で思い出話をした。お母さんはずっと、お墓の中にいる親と弟に話しかけていた。


すると、一匹の蝶がどこからか飛んできて、戒名の書いてある石碑の名前のところをチョロチョロとひとりずつなぞるように歩いた。お母さんと私がじーっと見ていると、今度はお供えしたお花にとまって蜜を吸い始めた。私たちが近寄っても全く逃げない。他のお墓にもお花はあるのに、うちのお墓のお花だけを転々とし、蜜を吸う。
この蝶を見てお母さんが、 「 『お墓参りに来てくれてありがとう』 って蝶になって、お礼を言いに来たんだよ」 とまた、泣いていた。いつもは不思議な出来事を信じない私にも、本当にそういう風に見えた。世の中の時間が全て止まって、この蝶だけが動いているような、そんな感じさえした。とても不思議な出来事だったなぁ。


それから、お母さんの実家に行った。おじいちゃん・おばあちゃん・おじちゃんが亡くなったので、おばちゃんとその娘のふたりしか住んでいない広い家。この家は海の近くの高台にあるため、めっちゃ涼しく、エアコンが入っているみたいだ。仏壇に手を合わせ、お互いの近況を話し、あっと言う間に時間が過ぎていった。
時間といえば、この時計。時々ふたを開けて、鍵のような棒を取り出し、文字盤にある穴に入れてギリギリと音を立ててネジを回すのが楽しみだったなぁ。日付が違っているから、その部分は壊れて動いていないようだ。体の小さいおじいちゃんが、台に乗ってギリギリと回すのを見るのが大好きだったなぁ。うー、懐かしくて胸いっぱい。まだまだ現役で頑張って欲しいな。

実は、久しぶりに田舎に行ったので、JRのポスターにもなっているキレイな海のある景色を見に行く予定だったが、時間があまりないので断念。あー、ゆっくり海を見たかったなぁ。でも、今日の目的はお墓参りだからね。




実家を出て3人で向かったのは、お寿司屋さん 「蛇の目寿司」 。うちの家族は、何かお祝い事があるときは必ず、蛇の目寿司の上ちらし寿司を食べた。これが私にとっての最高のご馳走だった。いまでもおばあちゃんち行くときは、ここのお寿司を食べるのを楽しみにしている。いつも混んでいるが、今日はランチタイムを過ぎていたので、すぐに入ることが出来た。やったー!
久しぶりのちらし寿司!新鮮な魚介とアラ汁がセットになった上ちらし2300円。ちょっと値上がりしたね。しかし、凄いボリューム!この魚介の下には、玉子焼きやイクラ等が敷かれている。食べても食べても違う魚介類が出てくる。昔は楽勝だったけど、この歳になるとご飯は半分でいいな。でも、最高に美味しかったぁ。

蛇の目寿司があるのは、JR宮古駅の目の前。蛇の目寿司の裏にある駅前駐車場に停めていた車に乗って駅の方を見ると、ロータリーが整備されてキレイになっていることに気付いた。

「海まで行けないなら、せめて駅の売店で、相馬屋のあんぱんを買ってこようかなぁ」 と呟きながらキョロキョロしていたときに目に入ったのが、この外灯。「うわー、見てみて!外灯がウミネコの形になってるよー!」 と大きな声を上げてしまった。
宮古市は海の観光がメインの町で、遊覧船を追いかけてくるウミネコにパンをあげることができる。この外灯、ウミネコが飛んでいる姿がよく表現されている。考えたねぇ。手で写真の下半分を隠してみるとホント、ウミネコが飛んでいる姿にそっくりじゃん!大きいビルがないからこその景色だね。いやぁ、楽しい!


さぁ、帰り道も、ひたすら山道を2時間半かけて走る。行きの道中でも立ち寄った、必ずトイレ休憩を取る道の駅に寄り、野菜やお盆用のお花を仕入れることにした。お父さんはトイレ、お母さんと私は産直館へ。

今度はゆっくり見るぞー!
地元で採れた野菜やお花は激安!キャベツもナスも50円〜100円ぐらいで買える。安くて新鮮で、どれもこれも欲しくなる。トマト、ナス、ピーマンなどの夏野菜も艶々だわー。そうそう、夏といえば夕顔。太くて長くて、力持ち大会みたいな重さだ。夕顔には必ず、2〜3本の青南蛮が付いている。夕顔は3〜4ミリの暑さに切り、千切りの青シソ・青南蛮・一味と一緒に甘辛く炒めて食べるので、必ず青南蛮を付けてくれるのだ。農家のみなさん、親切だなぁ。私たちは既にさっき、おばあちゃんちでもらってきちゃったもんねー。


これは、 「サニーショコラ」 という名前のとうもろこし。とうもろこしは、田舎では 「もろごす」 。よく、 「とうきびって呼ぶんじゃないの?」 と言われるが、それは北海道。うちは 「もろこし」 が訛って 「もろごす」 か、ちょっと若い世代だと 「もろごし」 。
そのカゴには農家の方の手書きで 「生でも ゆでても おいしいです!!」 の文字がっ!この間、飲みに行った居酒屋のお通しで、生とうもろこしを相手の分まで食べた私。 「お母さん、これ食べたい!」 と買い物カゴへ。茹でたとうもろこしが好きなお母さんは別のとうもろこし袋を手にし、 「こっちがいいんじゃない?」 と言っていたが、 「それとは別に生用に、ねっ!」 とお願いして買ってもらった。やったー!


ナスは色んな種類があって面白かった。これは、長ナス。長ナスっていっても、限度があるっしょー!というぐらいのロングロング長ナス。隣の玉ねぎと比べたら分かるかなぁ。私の腕を使って長さを測ってみたら、指先から二の腕の真ん中ぐらいまであった。この農家さんは、長ナスにも青南蛮を付けてくれている。親切だねぇ。長い青南蛮が縦に2本入っているんだから、これだけでもロングロングなのが分かるね。

このナスも大きかった!コロンと丸くて、お肌はパンパンの艶々。艶々すぎて、写真を撮っている自分が写ってしまう。胴回りは、両手で掴んでやっと掴めるかなー、ぐらい。

野菜やお花を抱えて車に戻ると、お父さんが運転席に座っていた。やばいっ!運転する気だ! 

「いつも運転してるんだから、たまにはゆっくり助手席に座ってよ」 と言い、運転席を譲ってもらい、私が運転して帰ることにした。ふっー。。。
道の両脇はずーっと、こんな山。お父さんが生まれ育ったのは、この辺の山の奥の奥。私が見ても、どれも似たような山に見えるのだが、助手席のお父さんは 「戦後は食べ物がなくて、この山の上に豆を蒔いたなぁ」 とか、 「この山をずーっと入っていったところに、親戚の家があったんだよなぁ」 とか、昔を思い出して懐かしんでいた。 「えーっ?どれも同じような山に見えるけど、違いが分かるの?」 と聞くと、 「そりゃそうだよ。ここで育ったんだから」 と言っていた。


もう、今日は遅い昼食且つたくさん食べたので 「夕飯は要らないねぇ」 と車の中で話していた。 「じゃぁ、家の近くでコーヒーを飲んで帰ろうよ」 と誘った。お店は、お母さんのリクエストで、最近リニューアルしたお店に決めた。初めて行くから楽しみ!うわっ、雨が降ってきた。

ここは岩手では誰もが知っている有名なお菓子屋さん 「花月堂」 がやっている 「Dining Stage Cafe 月の座」 。建物をリニューアルし、お菓子の販売店舗にカフェを併設したステキ空間に生まれ変わっていた。 「田舎モンだから、こ洒落たお店は入りづらくて」 とお母さん。
お菓子は帰りにゆっくりみることにし、カフェに直行した。野菜ソムリエが作ったヘルシーなジュースや、地元の食材を使った美味しそうな食事がメニューに並んでいる。まだお腹いっぱいだよねー、と話していたハズなのに、コーヒーと一緒にデザートメニューからも一品ずつオーダー。まだ食べるんかいっ!

お母さんオーダーのロールケーキと焼プリンとフルーツのプレート。正式名称不明。3人揃って 「かーわいぃー!」 と言ってしまった。

さすが、お菓子屋さんのカフェ。見た目もきれいだし、とっても美味!お母さんも、携帯電話のカメラで写真を撮っていた。美味しい食べ物を食べると話も弾む。外は雨が降ってきたので洗濯物の心配をしたが、そんなのは一瞬。話が止まらず、ゆっくりのんびり過ごして楽しかったぁ!今日一日の疲れが取れた気がした。下の写真、左はお父さんがオーダーしたバナナパフェ。右は私がオーダーした和風パフェ。どちらも正式名称不明。

これはお菓子売り場の中の一角。ちょっとした手土産にちょうど良い、プチギフトたちが並んでいた。

とっても華やかで、可愛らしかったぁ。花月堂はいま、ロールケーキで人気があるそうだが、私は昔からあるお菓子 「八幡平の樹氷」 が好き。今日はダッグワースを買って帰った。
そこから家までの短い帰り道。お父さんとお母さんは、帰りにどの道を通るかで喧嘩を始めた。おいおい、そんな小さなことで喧嘩しないでよー!さっきまであんなに楽しく過ごしていたのに、台無しじゃん!やめてぇー!家に着くまで喧嘩は続き、家に着いたら収まってまた、仲良く 「薬飲んだー?」 とかやっている。はふーっ、ギャラリーの私の方が疲れるわ。何はともあれ、丸く収まって良かった、良かった。

さぁ、また暑い夜が来る。今日はぐっすり眠れるかな?無理だろうなぁ。お母さん、私に 「睡眠薬を飲んで寝れば、暑くても目を覚まさずに寝られるよ」 だって。もっと別のアドバイスはないんかいっ!いよいよ明日は、ちびっこザウルスたちが帰ってくるぞー!!


蛇の目寿司   食べログのページです。寿司屋だけど毛蟹ラーメンも人気です!
花月堂   カフェ 「月の座」 は、安心食材を使った美味しいお店です。
花月堂 楽天市場   楽天市場にもお店があります。ロールケーキが有名です。



【今日のポラロイド写真たち】