夏休み3日目 宮沢賢治記念館 〜 ザウルスの襲撃 〜 大雨の夜

天気予報では、東北地方に台風が近づいているとか。今日の午後は、ちびっこザウルスたが帰ってくる。私の自由時間は今日のお昼過ぎまで。あとはザウルス中心の予定になってしまうからだ。
夕べのうちにそれが分かっていたため、うちにある花巻マップで宮沢賢治記念館の開館時間を調べたところ、朝の8時半とのこと。何て良心的なんだ!夕べも雨が降っていたし、台風も来るらしいから、イギリス海岸は諦めていた。がっかり気分に光が射した感じ。さー、早起きして行ってみよう!と決意した前夜。
お盆の準備を手伝えないので、一応お母さんに打診してみたところ、「ちびっこたちが来たら無理だろうから、行ってきなさい」 とのお言葉。有り難い。



ひとりで車に乗り国道456号線を走り、9時ちょっと前に宮沢賢治記念館に到着。まだ時間が早いので、駐車場も空いている。何年ぶりかなぁ、ここに来たのは。いつ来ても、この場所はイイ。
宮沢賢治記念館は、賢治がよく訪れたという胡四王山の中腹の一角にある。高台にあり、駐車場脇の展望台からの眺めは広い広い田んぼが広がる花巻らしい眺めだ。今日は曇った暑い日で遠くのお山は霞んでいたが、それでもこの眺めは、昔とそれほど変わっていないのではないだろうか。私が立っている足元はコンクリートで固められているが、土の山を登った賢治も、ときどき立ち止まり、この風景を眺めながら山を登っていたのかなぁ。


駐車場から宮沢賢治記念館に向かう入り口。
記念館や美術館の、入り口の顔というか景色というか、そいういうものが私は大好きだ。青山の根津美術館は、道路から建物への入り口の景色が好きで、よく眺めに行く。
宮沢賢治記念館のこの入り口も、とても好き。丸い模様になっている白いタイル敷も素敵だし、自然の山の木を生かした緑も素敵。タイル貼りの背の低い館銘碑も景色に合っている。


敷地内に入ってすぐのところ、イーハトーブ館に下りる脇道との分かれ目に立っている案内標識。
てっぺんのフクロウは、賢治が描いたフクロウの絵。賢治関連の色んなものにモチーフとして使われるフクロウだ。賢治は絵が上手く、記念館内にも何点も展示されている。農学校の先生をしていたときも、授業で使う資料のさし絵や農機具の説明などは本人が描いていた。
向かって右の案内には、有名な 「下ノ畑ニ居リマス 賢治」 。この脇の階段を下りたら、本当に本人が居るような気になる。


その先の緑の広場には、こんな可愛らしい案内標識。
賢治の童話の世界では、防火水そうだってフクロウが教えてくれる。


記念館までの途中には、緑の脇道がある。
ちょっと寄り道して覗いてみて、すぐに気付いた。 「これ、もしかして 『シグナルとシグナレス』 だよね?」 。道の両脇にある、白い2本の街灯。よく見ると、鉄道の信号機の形をしている。賢治の童話 『シグナルとシグナレス』 を知っている人ならすぐに気付くハズ。信号機のシグナルは男性、シグナレスは女性で、この二人 (ニ機?) の恋のお話が 『シグナルとシグナレス』 だ。奥の方は赤い色が使われているので、手前右がシグナルで、奥左がシグナレスだね。


寄り道ばかりしていたので、やっと記念館に到着。これは、記念館前に並べられたベンチ。目の前は林が広がっているだけで、他には何も見えない。ただ緑が広がるだけ。緑の木々しか見えないのに、座って楽しいの?と思うかもしれないが、この素晴らしさは座ってみないと分からないんだなぁ。とっても素敵な世界に浸れるということが。

記念館の周りは松林。国道456号脇にも松林がたくさんあった。『雨ニモマケズ』 の中の 「野原ノ松ノ林ノ蔭ノ」 を思い出した。


これが、記念館の入り口。館内は撮影禁止なので、写真はこれまで。記録したい資料がたくさんあったけど、残念!


入り口前では、猫がお出迎え。賢治の童話 『猫の事務所』 だね。

猫の世界の案内所である猫の事務所。案内所が、そのまま再現されている。真ん中には空いている椅子があり、そこに座ると猫と館銘と一緒に写真を撮ることができる。私の後に来た家族が、小さいお嬢さんを椅子に座らせ、写真を撮っていた。うふふ、可愛い。

宮沢賢治記念館 リーフレットより

【この記念館の展示について】
宮沢賢治の深遠な思想と、詩や童話、教育や農村に展開した多彩な活動の理解は容易ではない。
本館の展示は、環境・信仰・科学・芸術・農村・総合・資料などの展示からなり、視聴覚的に宮沢賢治の全体像に近づこうと試みた。
ただ、昭和20年8月10日の花巻空襲で、遺品の多くが焼失したので、整然の愛用品は数少ない。この限られた資料と多くの作品を手がかりに、まことの道、イーハトヴの世界を、あなた自身で感じとられることを切に願います。

最後の一文、 『この限られた資料と多くの作品を手がかりに、まことの道、イーハトヴの世界を、あなた自身で感じとられることを切に願います』 に、 「はい!」 と返事をせずにはいられない。
賢治が病床で書いた 『雨ニモマケズ』 の手帳、 『永訣の朝』 の直筆原稿、父との宗教観の違いによる苦悩、大きな水彩画、小学生の時の作文など等、いろんなものを、正に 「ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ」 で頭に詰め込んだ。
メモしてきたことの紹介など詳しくはまた、別の日に書くことにしよう。



記念館の駐車場脇にあるのが、この建物 「山猫軒」 。そう、 『注文の多い料理店』 に出てくるレストランだ。中はレストランと、おみやげ屋さん。入り口に、猫の形をした3つの看板が見える。ひとつには赤い文字で 「営業中」 、その隣には 「どなたもどうかお入りください。決して遠慮はありません」 、奥には 「ことに太ったお方や若いお方は 大歓迎いたします」 と書いてある。童話の世界、そのままだ。

山猫軒の入り口脇にある看板が、そても素敵だ。看板の上からは耳が、下からはしっぽが出ているのが分かるかな?

イーハトーブ館や、賢治がデザインした花壇も見たいところだったが、記念館でメモを取りながら長居してしまった私。お昼までに家に戻る約束をしていたので、今日はこれで帰ることにした。



家に戻ると、お母さんが家中のお掃除を終えて休んでいた。 「お昼ごはん作りたくないねぇ」 というお母さんと相談し、私が行ってみたかった、熊谷牧場のランチに行こう!ということになった。以前、車で走っている時に何度か前を通ったことがあって気になっていたのだが、道がよく分からない。お母さんに聞くと 「大丈夫、分かるよ」 とのこと。この言葉を信じたのが間違いだった。似たような道が何本もあって分からず迷子になり、結局、COCOSでステーキを食べた。
お店を出ようとしたとき、急にもの凄い大雨がっ!駐車場までびしょ濡れになって車を取りに行き、お母さんを乗せ、お買い物をして家に帰った。


夕方、ついにお兄ちゃんとふたりのちびっこザウルスが帰ってきた。お嫁さんは来ないらしい。さぁ、この瞬間から、私のお父さんはおじいちゃんに、お母さんはおばあちゃんに呼称変更!
いやぁ、ちびっこたちは元気!よくしゃべる。こちらが相槌を打つ間も与えてくれない。いつブレスしているんだろう。感心して、ボーっと眺めてしまった。よくしゃべり、よく動き、たまに小競り合いをし、よく笑う。家の中が急に賑やかに、そして明るくなったよー!


これは、どちらも私のフルート。上が初代のYAMAHAのフルート、下が二代目のMURAMATSUのフルート。私は小学校5年生から高校卒業まで8年間、フルートを習っていた。部活の吹奏楽部では、中学の時はトランペットをやっていたが、高校ではフルートだった。今は殆ど吹くこともないが、ときどき楽器を取り出しては磨いている。今年、上のちびが中学生になり、吹奏楽部に入った。偶然にも、決まったパートはフルート。

梅雨の頃、おばあちゃんから電話があり 「Lの古いフルート、ちびにあげても良い?」 と聞かれた。その初代フルートは、10歳下の従妹が吹奏楽部でフルートをやっていた時に貸したまま。おばあちゃんに 「いいけど、従妹から引き取って、ちびに渡してね」 と言ってあった。その後、無事にちびの手に届いたらしく、今日も持ってきた。
ちびの話を聞いていたので、私も東京から自分の二代目フルートを持って帰省。暫くぶりに吹いたが、やっぱり初心者のちびよりは私の方がまだまだ上手い。音が違うもん。エヘン!即席フルート教室が開かれ、ちびに熱血指導。楽しかったぁ。もうちょっと上手くなったら、一緒に演奏したいなぁ。

6人での賑やかな夕食のあと、ちびたちと一緒にお風呂に入った。いつもはシャワーだけの私だが、ちびたちと入るときは湯船に長々と浸かって遊ぶ。下のちびは水泳をしているので真っ黒に日焼けしていて、裸になると水着の形に白い肌が現れ、裸なのに白い水着を着ているようで笑った。
オシャレになってきたちびたちに、泡洗顔をこれまた熱血指導。 「ねー、毎日これやったらさぁ、アトピーのお肌カサカサが治るかな?」 と聞いてきたので、 「たぶんね」 と答えた。ちびたちはシルクのような泡立ちに大ハシャギ!あー、高い石鹸なのにぃ!それぐらいにしておくれ!と思ったが、気付いたのが遅すぎた。あー、大失敗。。。あまりの長風呂と、高い石鹸が減っていく姿を見て、完全にのぼせてしまった。



実はこの夜、台風の影響で、もの凄い量の雨が降った。昼にCOCOSを出たときの大雨は、その後は弱まっていた。それが夕方からまた酷くなってきたのだ。
うちの周りは田んぼだらけ。これは一昨日の昼間に撮った写真だが、この用水路が大雨で溢れてしまった。道路にまで水が溢れ、誰かが通報してくれたのか、消防の人たちが集まって水を汲み出したり土のうを積んだり、雨に濡れながら大変な作業をしてくれた。お風呂から上がって用水路を見に行ったところ、消防の方々は帰ったあとで、雨も小降りになったためか水が少し引いていた。あー、とりあえずこれで安心して眠れるわ。良かった。

ちびたちはいつも、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋に寝る。狭いのに、4人並んで寝るのだ。今日はそこに私もいるので5人。さすがに暑いだろう!ということで、私だけ隣の部屋で寝た。隣といっても襖をあけているので同じ部屋のようなものだけど。ちびたちは、眠る瞬間まで元気だった。
じじばばも私も、ちびたちにパワーをもらったような、全て吸い取られたような、そんなワケ分からん!という感じ。あー、疲れたぁ。



宮沢賢治記念館   記念館は花巻市の施設なので、リンク先は花巻市のページです



【今日のポラロイド写真】 PX600フィルム 真夏の外では厳しいなぁ。SX-70明暗は真ん中で撮影。