長崎のんびり旅行 1日目・・・15,439歩

何の計画もないまま、とりあえず荷物を詰めたキャリーケースを引いて、羽田空港へ。
あ、何も決まっていないワケじゃないか。決まっていることが、ふたつだけある。
大切な友人に久し振りに会うことと、よく知っているつもりで大好きだけど実際にはお会いしたことのない方に、初めてお会いすること。前者はワクワク、後者はドキドキ!4日間の旅行なのに予定はコレだけって、アリなんだろうか・・・アリなのだ。
テーマは 「のんびりと、グダグダと」 だから。



九州には、会いたい友人たちがいる。福岡、佐賀、長崎。知り合った時期も、付き合い度もみんな違うけど、私にとっては大切な友人たち。その中でいちばん気になっているのは、体調を崩して何年も経つ長崎の友人。 「もし、遊びに行ったらアテンドしてくれる?」 とメールすると、 「もちろん!」 とのお返事が来た。4日間で3県を周るのは可能だけれど、今回は旅のテーマに沿って長崎だけにした。天主堂を観なくても、長い長い階段や坂道を歩かなくても、友人の元気な様子が見られれば、それで充分。
3月の大震災がなかったら、こんな風に考えなかっただろうな。今年1月、田舎での同窓会に参加しなかった後悔が、私の背中を押している。同窓会の会場だった海辺のホテルは波にのまれ、未だに通常営業ができてない。
会いたい人がいるなら、そう思った時に会いに行かないと、一生会えないことがある。大震災で亡くなった知り合いたちの顔が、頭に浮かぶ。いろんな思いを抱えて、大嫌いな飛行機に乗り込んだ。


無事に長崎空港に着いた。そこからリムジンバスに乗り、新地のバスターミナルに到着。暖かい、というより暑いぐらいだ。少し待っていると、友人が来てくれた。以前と同じように静かに登場したその顔を見て、元気そうだったのでホッとした。 「じゃ、またね」 と言って東京で別れた2月に比べたらずっと、顔色がいい。言葉もしっかりしている。
また、会えた。
そのまま一緒に中華街を歩いて、 「そういえば、ビードロおねだりして買ってきてもらったよね。壊しちゃって、また送ってもらったんだよね」 「蘇州林の 『よりより』 、また食べたい!」 などと言いながら歩き、私の宿泊先に荷物を置いてひと休みし、市内を案内してもらった。


今回お世話になるホテルはグラバー園の近くなので、歩いて向かった。さすがは観光地、長崎。どこに行っても、修学旅行生の集団がいる。無条件に楽しかったなぁ、あの頃。おばちゃん目線で、元気な修学旅行生を見てしまう。


教会に詳しい友人にいろいろ教えてもらいながら歩いた、大浦天主堂。正面から観る天主堂ももちろん素晴らしいが、この裏道がイイ感じだった。
マリア様は優しい顔をしている。とても優しい。こういう顔ができるようになりたいな。友人は小さい頃から、こういう表情を見ながら育ったんだなぁ。そんなことを考えながら、マリア様を見上げた。マリア様は、見る角度によって、その表情が違う。いちばん優しさを感じたのが、この斜め後ろからの表情だった。光が、その優しさを増してくれていたのかもしれない。


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グラバー園てっぺんの旧三菱第2ドックハウスから眺める長崎港と長崎の町。友人に、町のことをいろいろ教えてもらいながら眺めた。私が生まれ育ったのも海の町だが、規模が全く違う。こういう大きい港町もあるんだね。初めての土地は、やっぱり面白い。海も町も、お寺も教会も、和も洋も、全てが一緒に存在する町、長崎。不思議な町。

グラバー園の出口に向かっていたところ、小学生の子供たちが何やら足元の石を囲んで大騒ぎ。 「どうしたん?」 と友人に聞くと 「子供と一緒に見てみたら?」 だって。気になるので、輪に加わった。

覗き込むと、そこにはハート型の敷石がっ!あー、テレビで見たことがあるよ!コレ。園内には2箇所、ハート型の敷石があるそうだ。あとひとつは、どこにあったのかなぁ。気になるけど、ひとつ見られたからイイっか。

グラバー園を出たところで、 「こっちにもマリア様がいるんだよ」 と友人が教えてくれた。こちら、大浦教会のマリア像は小さくて、彩色された美しいマリア様。マリア像といっても、大きさも表情も全く違うんだね。この町には、どれだけのマリア様がいるんだろう。



次に向かったのは、長崎美術館。とても素敵な造りの美術館だ。
気になる特別展が開催されていたわけではなく、目的はその館内にあるショップ。実は、ここのショップにはポラロイドカメラのフィルムが売っているのだ。この友人は、私にポラロイドカメラをプレゼントしてくれ、その楽しさを教えてくれた人。2月には、持っているポラカメラのコレクションを全て、もらった。もう、ポラロイドカメラはやらないから、と。それが病気のためだと思っていた私は、コトある毎に 「ポラでもやれば?カメラ、送るから」 と言ってきたが、やはりもう、やらないと言う。もったいないなぁ、センスあるのに。
ショップには、IMPOSSIBLEのフィルムが並んでいた。そうそう、コレね。買うのは今日じゃなくて、帰る日だね。


美術館を出た後、友人の携帯電話の調子が良くないため、浜ん町アーケードにあるショップへ。このアーケード街、何でも揃ってるんだねぇ。地元の人に必要なモノ、観光客に必要なお土産屋さん、何でもある。アーケードを一歩出ると細い路地がたくさんあり、古い町並みも楽しむことができる。チョロっと路地に消える友人を追いかけ、キョロキョロしながら町を楽しむ。ホント、不思議な町だねぇ。
カフェでお茶をしながら、ダラダラと、くだらないおしゃべり。 「くだらない」 って、とっても贅沢なことなんだねぇ。いろんな話をしたり、それぞれ無言で携帯電話をいじったり、そんな何でもない時間が、とても贅沢に感じる。
何度も倒れて救急車で運ばれていた友人が、こんなに普通に町を歩けるようになっている。道を歩く時は自然に、車道側を歩いてくれる。席に着く時に、私に奥の席を譲ってくれる。以前は普通にやっていてくれていたことが、今はとても有難く感じてしまう。あー、少しずつ調子が良くなってきているんだなぁ、と思えた瞬間が増えていることが、とても嬉しかった。


夕方。18時ぐらいに、ホテルで人に会う約束をしていたので、それに間に合うようにと友人とホテルに戻った。同い年の友人は歩きなれているから元気だが、こっちは既にヘロヘロ。 「おばちゃん、もう歩けん!」 と何度思ったことか・・・。長崎の人の脚力って、凄いんだろうねぇ。そんなことを言いながらホテルの部屋に戻って携帯電話を見たところ、その方からメールが入っていた。ロビーで待っている、と。ひゃー、お待たせしちゃった!急いでロビーへ。


「あのー、Oさんですか?」 と聞くと 「はい」 と笑顔をくれた。Oさんはココ、はてなで知り合ったweb友達。いろいろアドバイスしてもらったり、私のキーッ!に共感してくれたり、いままでたくさんココでお話してきた方。初めて会うのに、お互いにいろいろ知っている、ニンマリな関係。不思議な感じだね。何だかとっても懐かしいような、そんな気がする。私のアテンダーである友人も一緒に、3人で外へ出た。

長崎出身のOさんと長崎在住の友人に連れられて向かったのは、さっきのアーケードの側にあるお店 「雲龍亭」 。ギョーザが美味しいお店だそうだ。小さい、1戸建のお店に入ると、2階を案内された。
奥の席を譲って頂き座敷のテーブルに着くと、Oさんがギョーザをオーダー。 「ギョーザ、6人前!」 。えーっ!ろ、ろ、6人前!?私が大食いなのはバレているけど、6人前って・・・。 「大丈夫、ひとつが小さいからパクパクいけるよ」 とOさん。隣で頷く友人。ははぁ、そうなのかぁ。何も分からない私はただ、従うのみ。車で来てくれたOさんはアルコールは飲めない。申し訳ないなぁ、と思いながら、ビールをオーダーした私と友人。もともとビールはあまり飲まない友人。大丈夫だろうか。。。


小粒のギョーザ、めっちゃ美味しかった!外はサクサク、中はしっとり。お醤油をつけなくても、そのままで美味しい。どんどん、口に放り込んでしまう。こりゃぁ、6人前もアリだね。
そして、Oさんはとても優しかった!何と表現したらいいか分からないが、その存在が優しかった。 「大丈夫?」 とか 「気を付けてね」 と言葉にするのも優しさだが、そういうのとは違うんだなぁ。そこに居て、話を聞いてくれるだけで感じる安心感と優しさ。その空気がとても心地よく、友人も私も甘えてしまった。イイ歳をして子供に戻ったみたいに、おしゃべりをした。
実は、友人を連れて行くことには不安があった。調子が悪い時の友人の姿が頭にあり、初めて会う人なのに暴言を吐いたり、黙ってしまったりしないか、とても心配だった。まだ、本調子ではないから。でも、 「ホント、イイ人なんだよー。楽しみ!」 と私が連発したためか、どうしても一緒に行きたい、と言うので今回、ご一緒させてもらったのだった。
良かった、連れてきて。滅多に他人に自分のことなど話さない友人が、初めてのOさんにたくさん話している。Oさんは、そういう空気を持っている人だ。何でも話してしまいたくなる。聞いて欲しいと思ってしまうのだ。私だって話したいことはたくさんあったが、Oさんと友人が話す様子を見てとても嬉しく、その様子をじっと眺めていた。初対面のOさんには申し訳なかったけど、本当に有難かったなぁ。何よりのプレゼントをもらった気分。お会いできて、本当に良かった。webでもリアルでも、お世話になりっぱなしだ。


いつもは 「楽しかったぁ!」 「美味しかったぁ!」 「歩き疲れたぁ!」 なんて思う、旅先の夜。
今日の夜は、ただただ 「来て良かったぁ」 と思った。
大切な友人ふたりに感謝、感謝。明日のことは明日、考えよう。無計画もイイもんだ。