年末年始休み3日目・・・最低気温−4.8℃、最高気温0.4℃ 雪・晴れ


朝。今日も私がいちばん最後に起きた。
目を覚まそうと外に出て、いつもの風景を眺めた。雲は多いけど、風もなくて気持ちがイイ。体じゅうに冷たい空気を吸い込むと、細胞ひとつひとつが目を覚ますような気がしてくる。ご近所の人が見たら、 「こんな寒い朝に薄着で外に出て、何をしているんだろう」 って思うだろうね。 「いやいや、この空気が贅沢なんですよ」 って言いたいわ。
実家はいいなぁ、と思うのは、何時に起きても朝ごはんが用意されているところ。 「あるものでいいよー。お魚なんて焼かなくてもいいからね」 なんて言っても、お魚も玉子焼きも出てくる。
やっぱり、お母さんって凄い。



今日の夕方には、お兄ちゃんとチビたちが帰ってくる。お母さんは、お掃除で大忙し。
「何か手伝う?」 と聞くと、 「お煮しめ用に大根を切っておいてくれる?」 とのこと。それぐらいなら私にもできる。 「いいよー。大きい丸でいいんだよね?」 と聞くと、 「うん、大根が小ぶりだから、丸でいいよ」 とのこと。
大根1本半を、こんな感じに切った。随分、いびつだねぇ。面取り、取りすぎでしょっ!ま、ぐつぐつやると、いい塩梅になるから大丈夫だね。雪の白もキレイだけど、大根の白もキレイだね。
大根の皮は、5センチぐらいの長さに切っておいた。後で、きんぴらにしようっと。



今日は雪の予報。たくさん降る前に買い物を済ませよう、ということになり、お母さんとスーパーをはしごした。どのスーパーも、昨日より混んでいる。年末年始の買い物を済ませようとする人、うちと同じように雪が降る前に買い物を済ませようとする人たちだね。どの人も、カートいっぱいのお買い物で、レジには長い列。
お母さんが列に並んでいる間に、ちょっと店内をブラブラ。すると、大好きな練りきりがっ!しかも、お正月用で、こんなに華やかにっ!
あーん、このピンク色の鯛。これコレ!子供の頃は、結婚式の引き出物には必ず入っていたのに、今は全く見掛けないもんねぇ。


今日のお昼は、簡単にお蕎麦。岩手は蕎麦を作っている土地がたくさんあるから、乾麺でも美味しい蕎麦が多い。うちはもともと宮古市に住んでいたので、お蕎麦の出汁にも煮干を使う。煮干や屑野菜、豚バラなどを適当に入れたお母さんの出汁は、本当に美味しい。そういえば、ラーメンの出汁にも煮干を使うよね。昔は、 「お母さん、ラーメン屋さんをやったら流行るのにー!」 って、家族でよく言ったよなぁ。
出汁に使った野菜、豚バラを載せ、ほうれん草と残り物の天ぷらも載せた、特製お蕎麦。これまた、美味しかったぁ。


午後になって案の定、雪が降ってきた。うちの田舎では、雪がたくさん降ってくる様子を 「のそのそ降る」 と言う。この 「のそのそ」 がぴったりな、いっぱいの雪が降って来た。せっかく午前中に少し雪が解けた道路も、また真っ白。あー、お兄ちゃんたちは来るまで向かっているのに。大丈夫かなぁ。


この写真は、軒下に干されたサンマ。昨日、洗濯物を干そうと思ったときに、気が付いた。お母さんに 「何、コレ?」 と聞くと、 「サンマが二匹だけ余ったから、ちょっと干してるの。薄塩で、美味しいんだよー!」 だって。
口に割り箸を通し、ビニール紐で割り箸の両端を結んだ、即席干物装置。サンマとサンマの間には、洗濯ばさみぃ!?お魚がくっつかないように、かな。よくやるなぁ、お母さん。イカを干すのだって、洗濯ばさみでやっちゃうもんねー。うふふ。
しかしサンマたち、もの凄く寒そう!このままこの場所で、年越しするのかなぁ。


雪ののそのそが止まらないため、どんどん積もってきた。お兄ちゃんたちが帰ってきたときに車を止めやすいよう、家の周りの雪かきをはじめた。うー、さぶい。。。

気温が低いから、雪もサラサラ。
ほら、葉っぱの上に載ったって、雪の結晶が見えるほどサラサラだよ。
赤い実が、白に映えるね。


葉っぱのカップに積もる雪。てんこ盛りだね。
そして、その葉っぱに守られている、赤い実。
こういう画が見られるから、雪かきだって楽しめるよ。
でも、もうこのぐらいで止んで欲しいなぁ。

雪かきも終わり、のそのその雪が少し収まってきた頃、お兄ちゃんとチビふたりが沿岸の大船渡から無事に到着。お義姉さんは今回も、自分の実家へ。そういえば、暫く会ってないなぁ。
とにかく、チビたちと恒例のギューッとハグ!お盆に会って以来だけど、ふたりとも大きくなったねー。ホント、大きくなった。チビたちは、おばあちゃん (お母さんは今日から 「おばあちゃん」 に変身!) ともハグ、おじいちゃんとハイタッチ!とても元気だ。



お兄ちゃんからもらった、大船渡の大好きな銘菓、かもめの玉子。今回は、おめでたい紅白の玉子だね。うーん、やっぱり美味しいねぇ。この他にも、お義姉さんの実家から、大きな箱のかもめの玉子を頂いた。りんご味やショコラ味、復興祈願のふくろうの焼印が押されたお菓子などの詰め合わせ。こりゃぁ、玉子祭りだ。嬉しい!


みんなでお菓子を食べたあと、東京のおじちゃんが送ってくれた震災特別番組のDVDを観た。大船渡や宮古、釜石などのよく知っている風景を見て、家族でいろんなことを話した。その日のそれぞれの様子、震災後の毎日など、いろいろと。
DVDを見終わった時、お兄ちゃんが 「ここで発表があります!」 と言った。何ごと!?と思っていると、 「M (上のお姉ちゃん) が、チェコに行くことに決まりました!」 とのこと。 「チェコぉー!?決まったのね。おめでとう!」 と私。事前にちょっとだけ、聞いていたからね。
3月の津波で壊滅的な被害を受けた、沿岸の大船渡市。その大船渡の中学生を、チェコ共和国が招待してくれることになったそうだ。対象は、市内の中学2年生から十数名だったかな。希望者は作文提出と面接をし、チビの中学からは女子1名、男子2名の計3名が選ばれたそうだ。どうしても外国に行ってみたい!と言っていたから、本当に良かったね。チェコへは3月に行くという。2月には大阪からのご招待で修学旅行もある。本当に有難いことだね、と家族で話した。 「チェコってどこ?」 「言語は何語?」 「プラハとビールぐらいしか分からないよ」 「どんな食事なんだろう?」 などと 「?」 だらけの会話が続く。よし、後でちゃんと調べようね。



夕飯の準備中に撮った写真。たくさんのお皿が並ぶ食卓って、いいね。まだ、取り皿しか並んでいないけど、これからお料理が並んで、食卓に6人が着いて、いっぱいお話をしながらご飯を食べて。普通のことなのに、ね。
大人はビール、チビたちはジュースで乾杯!今夜のメインは、チビたちのリクエストで 「おばあちゃんのから揚げ」 。見た目は良くないのに、味がメッチャ美味しくて家族で評判のから揚げ。今日は私も手伝って、作り方を覚えた。私が子供の頃、こんなから揚げじゃなかったよね?と聞くと、 「近所の人から教えてもらったの」 だって。孫たちに誉められて、嬉しそうなおばあちゃん。お兄ちゃんが大船渡から持ってきてくれたお魚、キンキも美味しかったぁ。


食事が終わってからも大人たちはテーブルに着いたまま、会話を続けていた。お盆にはゆっくり聞けなかった震災後の生活について、お兄ちゃんから聞いた。
地震の時はまずドアを開けること、と言われているが、ある食堂のご主人はお店の入り口を閉めきっていたそうだ。いよいよ津波が来た!という時になって入り口を開けると、水がドッとお店の中に入ってきた。慌てて裏の小さな窓から逃げようとしたが、鉄格子がどうやっても外れず、逃げ切れなかったそうだ。そして、そんな話はいくつもいくつもあるという。
お兄ちゃんの学校の生徒の親御さんは、津波で流された後、血だらけのパジャマ姿で学校に辿り着いたそうだ。津波にのまれると、着ている服は波に持っていかれるそうだ。町中を飲み込んだ波は、釘やガラスなど危険なものがたくさん混じっている波。そのお父さんも流されている間に服が全て脱げ、流されている家に何とか掴まって家の中に入り、そこにあったパジャマを着て逃げてきたとのこと。
お兄ちゃんも、波が引いた後はいろんな知り合いの家の片付けに行ったそうだが、がれきの山、そこから飛び出した釘やガラスが危なかったそうだ。がれきの中に混じる写真を見ることも多く、とても切なかった、と。
震災後は、町中が泥棒にやられ、家の中のものを持って行ったそうだ。あるお店にトラックで載りつけ、商品を山積みして持ち去った者もいるという。流されてきたバッグを開けたところ、現金2000万円が入っていた、というニュースもあったそうだ。
大槌の避難所は下が土で、その上にビニールシートを敷いただけの避難所で、とても寒かったそうだ。支給されるおにぎりもふたりで1個という日が何日か続いたとのこと。
いま仮設住宅に住んでいる人たちは、結露と寒さに苦労しているそうだ。ハウスメーカーが作った仮設住宅は作りもしっかりしていて良いそうだが、そうでない仮設住宅は基礎もしっかりしていないので、地面の冷たさがそのまま床に伝わり、とても寒いそうだ。


ガソリン不足の行列、チビたちのその日の様子など、お兄ちゃんの話には終わりがなかった。とにかく人生観が変わった、と言っていた。生きていくためには、必要なものだけがあればいい、と。支援物資をたくさん受け取り、それを保管するために倉庫を借りている人がいるという。こういう状況下にあると、その人間の本質が見える、とも言っていた。
お兄ちゃんの話をたくさん聞いて、いろいろ考えさせられた。



夜、みんなで人生ゲームをやった。下のチビが、サンタさんにもらったものだそうだ。昔の人生ゲームと遊び方は変わらないが、盤のコメントが現代っぽく変わっていて面白かった!意外と、おじいちゃんが検討してビックリ。ゲームの持ち主である下のチビは、夕飯の食べ過ぎでお腹を壊し、ゲーム途中でリタイア。いっぱい食べたから、お腹がびっくりしたんだねぇ。明日は治っているといいね。
今日は、上のお姉ちゃんと布団を並べて寝た。布団に入ってから、ふたりでいっぱい話した。友達のことや、部活のこと、音楽のこと等、いろいろ。 「こういうの、楽しいね」 なんて言いながら、ふたりで夜更かし。ここでの会話は、みんなにはナイショだね。
続きはまた明日、話そうね。