三連休・・・食とメインイベントの二日目

朝、 「おそよう」 と居間へ顔を出すと、従妹と運転手のおばちゃんはもう、出掛ける数分前。そのまま旅行へ行く従妹は大きな荷物を持ち、 「昨夜は楽しかったね。ゆっくりして帰ってね」 と元気に出掛けて行った。 「こちらこそ、どうもねー。まだ来っからね!」 と見送り、留守番状態でこたつに丸くなる大人ひとり。

「ありゃ、今日はLちゃんも一緒にお留守番だぁね」 と、こたつの上のハルちゃん。いつも、ひとりでお留守番だもんねぇ。今日はこたつの電気が入っているから、快適でしょ。しかし、広い家は寒いねぇ。トイレへ行くのも、台所へ行くのも、本当に寒い。
しかも、地震のせいで室内の襖や引き戸は、どれひとつピッタリと閉まらないもんね。そりゃぁ、寒いわ。
それでもハルちゃんは足を使って上手に引き戸を開け、居間を出て行く。開けることができるなら、閉めることも覚えてくれぃ!こたつから出て、引き戸や玄関を閉めに行くのが大変だよー!


ハルちゃんとの引き戸攻防を繰り返していると、おばちゃんが帰ってきた。 「ご飯にするがぁ」 と言い、昨日、魚菜市場で買った、さんまみりんを焼いてくれた。私が大好きなお煮しめも作ってくれていたよ。やったー!
そうそう、コレ。この大根!おばちゃんは圧力鍋を使うから、お母さんの作るお煮しめよりも形が崩れない。うちのよりも、上品に見えるね。どちらも美味しくて大好き。ご飯を食べながら、圧力鍋の使い方や、田舎料理の話をした。おばちゃんは今夜、同級生たちとお店に集まって同級会だという。お店だというのに持ち込みOKらしく、おばちゃんはわらびの煮付け担当なんだって。面白い同級会だね。

今夜は私も、帰省のメインイベントがあって出掛ける予定。昼間は何の用事もない。お土産を買ったり、三鉄の様子を見に行くぐらいかな。 「おばちゃん、夜までなぁどすんの?」 と聞くと 「別に用事はねぇよ。夜に持って行くお料理作るべぇ」 とのこと。 「すき昆布があっとも、煮付けで持ってぐ?」 と言われたので 「うん、貰ってぐ!」 とニヤリ。近所のスーパーへ必要な食材を買いに行き、帰っておばちゃんのお手伝いをした。

お煮しめの鍋。
にんじんや大根は、いちばん下ね。 「ごんぼうが無くて、味が足りながったぁがなぁ」 とおばちゃん。確かに、ごぼうが入ると味がまた更に美味しくなるもんね。 「お煮しめも、けでやっから(あげるから)」 と言われ 「わーい!」 と喜ぶ私。
もちろん、持ち帰り用のジップロックもさっきのスーパーで仕入れてきたもんね。
結果、この鍋のお煮しめ、2/3は私がもらったのであった。


こちらは、おばちゃんの同級会用のわらび。煮付けというか、炒め煮だね。
具がいろいろ入っていてイイねぇ。 「ちょっと、味見してけっけぇ」 と言いながら、何度も食べちゃった。うーん、美味しい!
これを大きなタッパーに入れて、同級会に行くのね。 「他の人は、何ぃ持ってくんの?」 と聞いたら 「 『おふかし』 がなぁ」 とおばちゃん。
あー、私の大好物、甘いお赤飯だ!いいなぁ、いいなぁ、食べたいなぁ。私も一緒に行きたいなぁ。


こちらは、すき昆布の煮付け。
私が買い出しに行ったしらす干しと、お揚げさんと、糸こんにゃく、ちゃんと入れてくれたね。美味しそう!
乾燥したすき昆布を戻したのも、にんじんを切ったのも、味付けをしたのも全部、おばちゃん。私は白ゴマと一味を好みの量、降っただけ。ま、仕上げだけ、ってコトか。ふたりで、あれが足りない、これが足りないと味見をして作って、楽しかったぁ。甘めに仕上げて、一味を多めに入れて。うん、完璧!
この鍋は、ほとんど私がもらった。嬉しいなぁ。


いちばん奥にある鍋を見ると、キレイな色のカボチャの煮つけ。
「おばちゃん、何このカボチャ!キレイな色だぁねぇ」 と言うと 「うん、何だが名前は忘れだぁども、細長いカボチャだよ。煮付けだぁがら、持ってって」 とおばちゃん。
いつもの丸い緑のカボチャだと、煮たら色が茶色っぽくなるのに、このカボチャはキレイな色をしている。食べてみると、丸いカボチャよりあっさりしていて食べやすい。
「おばちゃんちのおかず、全部もらって悪いねぇ」 と言うと、 「なぁに、ふたりっこしかいねぇがら、そんなにいっぺぇ要らねぇもの。持ってげ!」 だって。有難くいただきます!

テーブルに鍋を並べ、ふたりでジップロックに入れた。1品につき3袋ずつ。それを全部、巨大なフリーザーに入れ、東京に戻る日に冷凍の宅配便で送ることにした。ふっふっふ。東京に戻ってからの毎日が楽しみだー!



「お昼は、なぁどするやぁ」 と言われ 「昨日買った、相馬屋のパンにすっぺー」 と私。もう、そんな時間かぁ。
あんパン、クリームパン、アゲパン、あんドーナツ。私にとっては、これ以上ない相馬屋さんの豪華ラインナップ。おばちゃんはクリームパン、私はあんパンを食べた。もちろん、おススメのあんドーナツも。
やっぱり、相馬屋さんのあんは美味しいねぇ。
と、おばちゃんが 「うんめぇヨーグルトがあっから、一緒に食べべぇ」 と言って、台所に向かった。 「うんめぇ」 と言う言葉に惹かれ、一緒に台所へ。


ん?これ、詰め替えのシャンプー?
そんな袋に入っているのが、岩泉ヨーグルト。その量、2キロ!単位が 「キロ」 だよー!びっくり。宮古のお隣、岩泉町は、水がとってもキレイで、酪農が盛んな土地。そこで生まれた、このヨーグルト。
驚くのは、その量だけじゃなかった。スプーンですくった瞬間に分かる、ねっとり感。凝固材を使っていないそうだが、このねっとりというか、もっちりというか、ヨーグルトというよりチーズケーキを食べているようだ。何だこりゃ!美味しいぞー!
これだけでお腹がいっぱいになるような、ずっしり感。こんなヨーグルト、初めて。いやぁ、驚いた。


お腹いっぱいのまま、おばちゃんの車を借りて、お土産を買いに出掛けた。東京の友人に、宮古のいかせんべいを頼まれていたからだ。いかせんべいは、どこでも売っているから大丈夫、と思って駅のお土産屋さんに行ったところ、工場移転で製造ストップしているため、商品がないとのこと。えー!宮古にいかせんべいがないなんて・・・。何とか在庫のあるお店を探しあて、無事に買うことができた。あー、良かったぁ。

JR宮古駅での一枚。
大漁旗に 「合格祈願」 の文字。宮古自慢の鮭も泳いでいる。何て粋な応援なんだっ! 『祝』 は少し気が早い感があるが、こんな応援をされたら嬉しいねぇ。


うちの上のチビは、受験生。見上げて思わず、手を合わせた。JR山田線の車両と大漁旗。ご利益ありそうだね。


そのままお隣の三陸鉄道宮古駅へ。
日本初の第三セクター鉄道として開業したのは、いつだったかなぁ。開通の時は大変な賑わいだったねぇ。親戚集まって乗りに行ったんだよね。島越駅は海の目の前の高い位置にあり、オシャレな駅舎で記念写真を撮って。その思い出の駅も、津波で全部流されてしまった。
北リアス線南リアス線から成る三陸鉄道は、北リアス線が一部運休、南リアス線は全線運休している。南リアス線は4月から運転再開予定だそうだ。地域の人たちの足として、頑張って欲しい。


今日の目的はコレ 『三陸鉄道 応援きっぷ』 を買うこと。
中に入っている切符は、北リアス線 「宮古から久慈ゆき」 と、南リアス線 「釜石から盛ゆき」 B型硬券乗車券各1枚。有効期間は、れぞれの全線運転再開日から1年間の間に1回限り。
なんという素晴らしい支援。売上げは全て三陸鉄道に入るよう、小学館が支援しているという。切符を買うことで終わらず、買った人がまた、三陸を訪れてくれるという夢のある支援だ。


三鉄の窓口の男性職員さん、やわらかい笑顔で、対応がとても親切で、 「絶対にまた、乗りに来ます!」 と言いたくなるような方だったなぁ。
きっと、この切符を買った人たちは、全線開通のニュースを聞いて必ず三鉄に乗りに来るだろう。でも、台紙から切符を剥がして使うのではなく、改めて切符を買って乗るような、そんな気がするなぁ。


台紙の裏面には、こうある。
『今はまだ、どちらの切符もまだ使うことは叶いませんが、1日でも早く使える日が来るようこの応援切符を制作しました。それはつまり、 「三陸鉄道全線開通」 の夢が実現すること。 『新・鉄子の旅』 レギュラー陣一同、微力ながら、三陸鉄道を応援させていただきます』


この切符を使える日は、そう遠くなさそうだ。楽しみだなぁ。


と、二日目はココで終了。
夜のメインイベントは諸事情により詳細を書くことができないため、忘れた頃にひっそり書くことにしよう。
とにかく、最高にイイ夜だった。地元の若いコたちと同じ場所に居て、溢れるエネルギーを感じた。このコたちは、イイ意味で飢えている。エネルギーを爆発させたくて、待っている。とにかく、東京では感じたことがない、独特の、もの凄いパワーだった。
もっと、もっとと求めるそのパワーには、それだけ溜めてきた時間、思いがあるのだろう。


興奮状態のまま、高校の同級生と、そのご主人と3人で飲んだ。大切な友達、大切な故郷、大切な思い。イイ夜だったなぁ。
もう、明日は町を離れないといけないのか。。。