食った飲んだ笑った



昔、よく読んだ絵本のタイトル 『くった のんだ わらった』 。内容云々よりも、タイトルが面白いのと絵が楽しかったから、よく手に取ったんだったと思う。


そのタイトルさながらの、今日の宴。浅草のお店で月に一度開かれる日本酒の会に、今日は同僚パートちゃんを誘って出掛けた。同じテーブルには、白髪のおじさまふたり。お仕事は引退し、 「俺たちは毎日ヒマだからさぁ」 なんて仰るおじさまたちは、大型バイクで遠乗りするほどお元気な日本酒好き。何やら楽しそうな予感。
今日の蔵元は、岩手は岩泉町の泉金酒造さん。お酒の写真はラベルが…。
最初の 「牡蠣の有馬煮」 をつまみながら、松茸酒 『森の宝』 からスタート!


左から 「赤軸ほうれん草のおひたし」 「酒粕クリームチーズの天ぷら」 「クリームチーズ干し柿のせ」 。クリームチーズ酒粕、同じく干し柿、絶妙の組み合わせだね。これは、お酒が進む。


ここからはおじさまたちも私も純米酒体制へ。特別純米酒 『龍泉 八重桜』 は、水の美味しい岩泉の良さが分かるお酒。すっきりした切れ味で、いくらでも飲み続けられそうだ。


私のなかで、今日のいちばん!は、このお椀。
わかめのすり流しをまとったホタテしんじょ、それを覆う聖護院かぶは、水面に張ったうす氷を表現しているそうだ。
お椀ひとつに、あふれる季節感。なんて繊細なんだ。うす氷の下、とろっとしたすり流しは体のど真ん中に入り、隅々まで温めてくれる。あー、幸せ。そう感じられるひと椀だ。
気が付くと、暫し日本酒は休憩してしまっていた。


「生ゆばの塩ウニのせ わさび菜添え」 。大好きな塩ウニの登場に、お酒も純米大吟醸の龍泉八重桜へ。お米の国に生まれて良かったなぁ、と感じるお酒だ。香りがガンガンと主張しすぎないのは、作り手の繊細さゆえか。


おじさまたちとの会話は盛り上がる一方。日本酒の話はもちろん、お三味線、ジャズ、バイク、落語、昔の仕事、体のこと等など、とにかく話は尽きない。人生の経験量が違うなぁ。


「海老芋と真鯛 春菊ソース」 。春菊の香りがイイわぁ。
その香りに負けないアルコール19度の 『しぼりたて生酒』 と。今年の仕込みは暖かく、温度を下げるのに苦労したとのこと。
岩泉町は、私の育った宮古市のお隣の町。雪が少ない!なんて喜ぶ一方で、こういう苦労もあるんだね。


「大根の煮物 白子添え 酒粕ソース」 。料理の名前は、店主の説明を聞いた私が勝手に付けたものだが、どうにもセンスがなく、イマイチ上手く表現ができない。。。


海老芋で膨らんだお腹に、大根は優しい。色白で、味もほんのり。ごぼうの香りも大根の風味も、素材の良さがあふれている。
チェイサーがわりに生ビールを飲んだが、 「やっぱり純米酒だねぇ」 と再び日本酒へ。


実はこのあと、いつものいちばんのお楽しみ、蕎麦を頂いたのだが、全員が楽しみにしすぎていたため蕎麦の登場に興奮は最高潮。それっ!と啜りはじめたので、写真がナイ。あーあ。
でも、やっぱりここのお蕎麦は美味しかったぁ。おじさまたちも、ここの蕎麦は美味いっ!と仰っていた。地元のおじさまたちが言うんだから、間違いないね。


デザートは 「ヨーグルトのムースと食用ほおずきジャム」 。泉金酒造のある岩泉町は乳製品や食用ほおずきが名産。さっぱりして、美味しかったぁ。


今年の会は、これで終了。おじさまたちと名刺交換をし、手を振って別れた。また次の回でお会いできるといいなぁ。お酒とお料理の他にも楽しみができた。なにより、なにより。